内容説明
一八五九年に横浜が開港し、「第二のカリフォルニア」になるというニュースは全世界に広がった。統一以前のドイツ諸国のなかで、ブレーメンの商人ギルデマイスターはオランダ人の名目で来日、ハンザ都市と日本との通商条約の締結を画策し、その経過や商業活動の見込みなどを故国に書き送った。本書は、ギルデマイスターの手紙十九通と回想録をとおして、商人の目で見た幕末の日本をはじめて紹介し、ドイツ人クラブの創設に貢献し、在横浜プロシア名誉領事なども務めたその足跡をたどりながら、日独交流史の隠れた側面を浮き彫りにする。
目次
第1章 ギルデマイスターの生涯
第2章 ギルデマイスターの書簡
第3章 ギルデマイスターの『回想録』
感想・レビュー
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bapaksejahtera
10
幕末の開国間もない日本に、ハンザ都市同盟の一つ、ブレーメンの商社員として滞在したドイツ人ギルデマイスターの書簡を中心として、激動期の日本に於ける商業活動を描く。この短い新書は、まず彼の家系から活動のあらまし、次に彼が日本から故国に宛てた19通の書簡、最後に1913年に著された彼の回想録の三部構成からなる。我が国の商業貿易や金融活動の黎明期の様や、統一以前のドイツ人商社員の、英仏や新興の米国の中で制限を受けつつ、恐らくは彼が強い帰属意識を持ったブレーメンやハンザ同盟に間する成功を見なかった諸活動が興味深い。2023/07/22