内容説明
横浜の居留外国人によって始められた根岸競馬は、わが国の近代競馬の基礎を築き、彼らがもたらしたさまざまな馬に関する文化は、日本の近代化に大きな影響を与えた。本書は、横浜開港とともに流入した西洋の馬文化の諸相と成立から明治中期までの根岸競馬の変遷と実態を資料をおさえながら、エピソードをまじえ、軽妙なスタイルでつづったものである。『日本競馬史』で看過された外国人の功績を正当に評価したものとしても注目される。
目次
プロローグ―人と馬のつながり
1 西洋の馬文化がやってきた(口中のカネの棒―洋式馬具の登場;古代からのナゾ―馬車の歴史)
2 競馬―歩みはじめのころ(競馬発祥地の混乱―競馬のはじまり;チョンマゲ競馬―武士招待競走)
3 馬場だけが知っている(真の競馬功労者―根岸競馬紳士録;90万頭のコンビーフ―日本人農耕民族説)
略年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
七六式
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日本競馬発祥の物語は幕末のイギリス人居住区に造られた仮設の馬場で始まるそうです。当初そのレース場を舞台に持ち込まれ萌芽を見た西洋競馬では、時代ごとに場所を変えながらあるときは在来馬や中国産馬(つまり非サラブレッド)、あるときは騎乗した武士、あるいは馬丁による徒競走など、今日ではありえないような混沌たる趣向のレースがあったとか。そんな根岸を舞台にした初期日本競馬小史に興味があればおすすめです。ちなみにこの根岸の跡地には競馬の博物館があり、現在の天皇賞のルーツとなった競馬場として賜杯が展示されています。