内容説明
北条早雲の登場は、東国に戦国時代の到来を告げた。その子氏綱は、小田原に本城を置いて武蔵に進出、領国支配権力の象徴として「虎の印判」を定めた。氏康は、計画的に検地を実施し、家臣の組織化と農民の直接支配に乗り出し、領国の形成を進めた。本書は、著者独自の問題意識から、領国支配の実態や、戦乱のなかで成長する農民の姿を描き出し、さらに、豊臣秀吉の全国統一事業の前に敗れた理由を解明、氏政・氏直に至る5代100年にわたって、関東に覇を唱えた戦国大名北条氏の新たな歴史像を素描する。
目次
北条早雲
北条氏綱
北条氏康
北条氏政・氏直
北条氏の滅亡
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nob
9
硬派な歴史研究書。もともと土地との繋がりを持たなかった早雲・氏綱が、相武州の国人たちをうまく勢力に取り込みながら勢力を拡大。河越夜戦を勝利した氏康の手で領国としての形が完成。しかし相次ぐ戦で農地を荒らされ、働き手を取られた「退転」農民は、支配者に対し強気で要求を突きつけてくるようになる。頻発する徳政令、年貢の赦免は支配力の弱さゆえ。派手な合戦に目が行きがちな戦国時代だが、生産力の鍵である農民政策といった地味なところが実は国の存亡にとって重要なのだろう。2018/03/02
BIN
6
後北条氏5代についての歴史ですが、氏康以降は政治面(検知とか徳政令など)の話が多い。まさに研究者が書いた新書という感じです。さすがに35年位前の本なので、情報は古そうです。2022/08/30
アメヲトコ
1
後北条氏五代の歴史をまとめたもの。いかにも研究者が書いたという文体ですが、近年の歴史ライターによる軽薄無内容な新書の跋扈を思うと好感が持てます。2014/12/28