内容説明
五感の触発でいつでも数限りない心象が引き出せるバイオロジカルな力とは、過去・現在・未来と持続する己れと出あう場としての記憶の力である。産業革命や都市化による動乱期に生じたロマン主義は、科学技術の繁栄の潮流が取り落とすものを予知し掬い上げようとする。近代化の源流から混迷を深める現代を逆照射するロマン主義の射程は長い。
目次
1 失楽の諧調(アルフレッド・E.ハウスマン『シュロプシァの若者』―帰れぬ故郷;ウィリアム・ワーズワス『ルーシー・グレイ』―Lucy Grayと孤独 ほか)
2 異文化からの風(エリザベス‐フラッシュ‐そしてヴァージニア;ヴァージニア・ウルフ―『オーランドウ』への道 ほか)
3 混迷からの再生:バイオロジカル・リテラチァー(ウィリアム・エムプソンのミルトン論―異文化圏の眼から;ウィリアム・ワーズワス:Lucyの死―Something Miraculous but Very Natural in the Laws of Organic Life ほか)
著者等紹介
井上美沙子[イノウエミサコ]
日本女子大学文学部英文学科卒。日本女子大学大学院修士課程修了。大妻女子大学助教授。19世紀英文学専攻
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