内容説明
舞台はアントン・チェーホフ生誕の地、タガンローグ近郊はミレナの谷。激戦地マリウポリの東方一〇〇余キロ、だがこれは領土紛争の記録ではない。ロシア大地からふつふつと湧き出し、時に激しく逸脱して人々を駆り立てる精神の内に宿る普遍性を考える物語。欧米的均質化を厭う心の持ちようはだれもが私かに抱くものだろう。まるごと資本主義の落とし子である。近現代の小説言語から遠く離れた、詩的語りの文体は春のそよ風のように乾いた心を癒してくれるに違いない。
著者等紹介
工藤正廣[クドウマサヒロ]
1943年青森県黒石生まれ。北海道大学露文科卒。東京外国語大学大学院スラブ系言語修士課程修了。現在北海道大学名誉教授。ロシア文学者・詩人・物語作者。『チェーホフの山』(第75回毎日出版文化賞特別賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。