著者等紹介
ミツキェーヴィチ,アダム[ミツキェーヴィチ,アダム] [Mickiewicz,Adam]
1798年ザオシェ(またはノヴォグルデク)生、1855年イスタンブール没。ロマン主義詩人、文学史家、思想家、政治家。ヴィルノ大学在学中から、愛国的運動に参加。1824年ロシアに流刑され、1829年出国。1832年にパリに定住。1839~40年スイスのローザンヌで教鞭をとり、1841~44年にはコレージュ・ド・フランスでスラヴ文学を講義した。クリミア戦争に際して、ポーランド義勇軍を組織しようとしたが病に倒れた
久山宏一[クヤマコウイチ]
1958年、埼玉県生まれ。東京外国語大学卒、早稲田大学大学院博士後期課程中退。アダム・ミツキェーヴィチ大学(ポーランド・ポズナン市)より文学博士号(スラヴ文学)取得。東京外国語大学など非常勤講師。ロシア・ポーランド文化研究、ポーランド語通訳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゅー
10
この作品の主人公コンラットは、実在の人物をモデルに創作されている。彼はドイツ騎士団の管区の長を務め、最終的にはドイツ騎士団総帥となった。彼が犯した軍事的大失態の原因をミツキェーヴィチはここで物語る。ミツキェーヴィチはコンラットの生国をリトアニアだと設定し、彼を悲運の愛国の士として描く。自分の最も愛する女性を捨て、国を捨て、それでもなおリトアニアの安泰のために非道な行為も辞さない。目的のためなら手段を問わない彼の行動は、あまりに騎士道精神からかけ離れており、なんとも言えない後味の悪さを残している。2019/08/12
刳森伸一
2
祖国リトアニアのためにドイツ騎士団へ復讐を遂げるため、愛する女性も平穏な人生も自分の名前をも捨て、ドイツ騎士団に潜り込んでその総帥まで上り詰め、ドイツ騎士団が壊滅するように行動するコンラッドの復讐譚を描く叙事詩。謎が積み上がっていく複雑な展開で集中力を必要とするが、最後の方で鮮やかに全体像が浮かび上がってきたときには思わず唸った。2020/01/20