内容説明
レーニンの死から一年、スターリン統治下に執筆。ペレストロイカの87年迄ソ連国内で62年間発禁。現在はロシアの高校生の必読作品となった。ブルガーコフ33歳の大問題作、新訳!
著者等紹介
ブルガーコフ,ミハイル・A.[ブルガーコフ,ミハイルA.] [Ъулгаков,Михаил Афанасьевич]
1891~1940。20世紀ロシア文学を代表する小説家・劇作家。明快な文章、ダイナミックな展開、ユーモアと風刺、多彩なイメージを特徴とする。生前はほとんどの作品が出版・上演を禁止または制限されていた
石井信介[イシイシンスケ]
民族友好大学(モスクワ)歴史文学部卒、大阪市立大学経済学部修士課程修了。ノーボスチ通信社東京支局勤務の後、ロシア向け/経由の貨物を扱う物流企業に勤めてモスクワ、サンクトペテルブルグ、ハバロフスク、ウラジオストク、ナホトカに駐在(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yukision
58
野良犬が人間に改造されて騒動を起こすストーリーだが,これは可愛い表紙に反して中身はソ連時代の体制を批判した風刺小説。特に共産主義に興味があって読んだわけではないのでピンと来ない部分も多かったものの,ペレストロイカ以前はずっと発禁だったが今はロシアの高校生必読書となったというから興味深い。脚注がもう一つの読み物並みに充実しているので,ロシアに関心のある人には面白いかも。2023/03/23
ヒデミン@もも
43
新刊棚でタイトルと表紙のワンちゃんに惹かれてロシア文学だとも気付かず借りてみたら、想像していた物語とまったく違っていてびっくり。レーニンの死から一年後に執筆されペレストロイカまで検閲に引っ掛かり出版禁止!? 凶暴な犬はスターリン!? 思わず幽体離脱。新訳されたということでわかりやすかったのかな。巻末の訳者の解説は非常にわかりやすかった。2023/01/15
つーちゃん
13
いぬのきもち♪というノリで読んではいけない。これは、二十世紀ロシア文学者、ブルガーコフによる政治批判系文学である。1917年ロシアは社会主義革命に成功し、国家資本主義を利用しながら経済を復興させる方向に動き始めた。そのために指導者レーニンは、文化と教養を階級関係なく身につける事が国力向上に繋がると信じ、「勉強せよ」とこんこんと言い続けたものの、スターリンが登場しちゃうんだよね。作中、ダイレクトに政治の話は出てこないんだけど、徐々にスターリンが暴れまくる様子が面白い。SFと政治批判の両方楽しめちゃう文学だね2023/02/11
御庭番
6
この本も今だから読みたい。 いぬの心臓よりもたしかに犬のこころの方があっている。 勝手に人にされた犬。 彼はどうするんだろう。作者が何を言いたかったのか考えながら読了 【図書館で借りました】2023/01/31
Э0!P!
4
ロシア版「吾輩は猫である」かと思ったら全然違う話だった。発想としてはすごく面白い。科学技術でもコントロールできない人間の死ぬことのない無限の欲望が本能と結びついたときそこに想像を絶する怪物が誕生する。それは後のスターリンであり、手懐けていた怪物の牙に飲まれる過程の始まりなのだ...。/ 前半部の犬目線でみたときのアイロニカルなソ連の階層社会の描写がコミカルさもあって面白かった。2024/01/20
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