内容説明
またやって来たからといって春を恨んだりはしないと始まる詩で人々のこころに刻まれた詩集。『終わりと始まり』から九年。ノーベル文学賞受賞後初、七十九歳、最晩年の詩集。
目次
瞬間
ひしめき合う世界で
雲
陰画
受話器
とてもふしぎな三つのことば
植物たちの沈黙
プラトン、あるいはどうして
小さな女の子がテーブルクロスを引っぱる
思い出すこと
水たまり
初恋
魂について一言
未明
公園で
統計の説明
ある人たち
九月十一日の写真
帰りの手荷物
舞踏会
覚え書き(メモ)
一覧表(リスト)
すべて
著者等紹介
シンボルスカ,ヴィスワヴァ[シンボルスカ,ヴィスワヴァ] [Szymborska,Wislawa]
1923‐2012。ポーランド、ブニン生まれ。ヤギェウォ大学に学び、1931年から人生をポーランドの古都クラクフで過ごした。1996年ノーベル文学賞受賞
沼野充義[ヌマノミツヨシ]
ロシア・ポーランド文学者、文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shoko
23
『終わりと始まり』があまりに大好きだったので、シンボルスカ×沼野充義のタッグが再び読める!と思って喜んで買った。前作では、シンボルスカの提示する世界の新しい切り取り方に眼を瞠り、そんな発見に心を踊らせていたけれど、こちらの作品はもっと渋い。人生の喜びも悲しみも味わい尽くした円熟期の詩人が、そのどちらに偏ることもなく人生を描く。入院中の沼野氏が今までで一番よく分かったと語るシンボルスカの詩は、ちょっと大人すぎて、人生総括・諦観・悟りの境地のようなものを感じた。三十年後くらいにまた読み返したい。2022/09/20
風に吹かれて
21
詩集。2002刊。ある瞬間の、穏やかで平安な風景を捉える『瞬間』、今ここに偶然にもある「私」を描く『ひしめき合う世界で』など、いつ始まったのかわからない時間の流れの先端に今いることの不思議さと愛おしさとを描くような詩。シンボルスカ(1023-2012)の眼から世界の見方を教えられるようだ。永遠ともいえる過ぎた時間に想いが行く。瞬間は、時間が流れているからこそ…。 →2022/09/02
ロビン
19
1996年ノーベル文学賞を受賞したポーランドの詩人シンボルスカの詩集。各詩の後に訳者沼野さんによる解題が載せられている。すべてを一括して把握したり一般化する粗雑なものの見方に一貫して反対していたという詩人は、「すべて」という詩で言葉を厚かましく、うぬぼれていると批判する。若い頃は共産主義の理想を信じたが、のちに疑問を抱くようになった彼女は、全体主義的なイデオロギーに対して警戒していたのだろう。「ひしめき合う世界で」では、決して陳腐でない言葉で、普段見過ごしている存在の奇跡を表現している。静かで強靭な詩集。2022/08/19
かもめ通信
14
ポーランドの詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカ(1923~2012)が2002年にまとめた詩集の全訳。1996年にノーベル文学賞を受賞した後、初めて刊行された詩集でもある。翻訳は 『終わりと始まり』につづき、沼野充義氏、版元も未知谷と変わらないが、収録方法は大きく変わっていて、23篇の詩一つ一つに訳者の解題が記されている。この編集方針の善し悪しについては評価が分かれるところかも。2023/02/06
GORIRA800
9
ノーベル文学賞受賞者の詩集 でもだからといって特別な重々しいってわけじゃなくて日常からひとつ特別な視点をもったような印象を受ける 長い時間をかけて世界を見つけるからこそかける詩もあるはずで雲とか自然の詩は年長者の深みがあると思う ただ堅苦しいとかじゃなく、歳を重ねたからこその視点の深さを持てたら素敵だと思う2024/01/20
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