内容説明
晩年、すべて自らの歌によって構成する独り歌合という新形式を思い着いた西行は、伊勢神宮の内宮と外宮に奉納すべく二歌集「御裳濯河歌合」と「宮河歌合」を企て、おのおの三十六番左右七十二首を並べることとなる。更に、当時の宮廷歌壇の重鎮たる藤原俊成を前者の、その子定家を後者の判者に恃み成就した。芭蕉を筆頭に後の文人の多くが憧憬する漂泊の歌人西行の生涯は伝説に富む。講釈師見て来たような…とは人口に膾炙するところだが、本書はおりおりに詠んだ歌を撰ぶさいに想い出だすあれこれを西行その人が来し方の実情を語り伝える物語。
著者等紹介
工藤正廣[クドウマサヒロ]
1943年青森県黒石生まれ。北海道大学露文科卒。東京外国語大学大学院スラブ系言語修士課程修了。現在北海道大学名誉教授。ロシア文学者・詩人・物語作者。著書に『チェーホフの山』(第75回毎日出版文化賞特別賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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