内容説明
ページに叩きつけられた言葉の苛烈さ、奔放さ、そして、そうした言葉に映し出される透きとおるような誠実さ。ファンテの魅力、美質がもっとも光るバンディーニ・サーガ第一作。
著者等紹介
ファンテ,ジョン[ファンテ,ジョン] [Fante,John]
1909年、コロラド州デンバーにて、イタリア人移民家庭の長男として生まれる。1932年、文藝雑誌『The American Mercury』に短篇「ミサの侍者」を掲載し、商業誌にデビュー。以降、複数の雑誌で短篇の発表をつづける。1938年、初の長篇小説となるWait Until Spring,Bandini(『バンディーニ家よ、春を待て』栗原俊秀訳、未知谷、2015年)が刊行され好評を博す。その後、重要な著作を立てつづけに刊行する。小説の執筆のほか、ハリウッド映画やテレビ番組に脚本を提供することで生計を立てていた。1983年没。享年74歳
栗原俊秀[クリハラトシヒデ]
1983年生まれ。翻訳家。カルミネ・アバーテ『偉大なる時のモザイク』(未知谷)で、第2回須賀敦子翻訳賞、イタリア文化財文化活動省翻訳賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GO-FEET
4
「八〇年代の「ファンテ・リバイバル」から今日にいたるまで、ジョン・ファンテの最高傑作は『塵に訊け!』であるとするのが、大方の一致した見方である。けれど訳者はかねてより、この評価に疑問を抱いている。少なくとも、ページに叩きつけられた言葉の苛烈さ、奔放さ、そして、そうした言葉に映し出される透きとおるような誠実さという、『塵に訊け!』と『ロサンゼルスへの道』の双方に共通する美質にかんしていえば、後者が前者を凌いでいるように思えてならない。」(訳者あとがき)2020/12/15
ソニックゆうすけ
2
どういうきっかけで、この本を読もうと思ったのか全く覚えてないんだけど、結果自分はかなり好きな小説だったので、嬉しい。訳し方なのか、自分の読み方なのか、主人公があまり年の割に若さがないのが少しだけ減点。本を読み過ぎて色々知り過ぎてしまっている設定だからなのかな。Cブコウスキーが好きな人はハマると思うし、実際本人も影響を公言しているらしい。どうしようもない事を拘って延々と語り続ける感じや反抗的な姿勢、自分の不確かな才能に過度な自信を持っている所とか好き。2023/03/23
keichato
1
面白すぎる。アルトゥーロ・バンディーニは愛すべきバカ主人公という感じで、絶対に友達にはなりたくないし、こんなやつと生活をともにしていた母と妹には同情するけど、それでもなんか愛せるというか。いや、本当に嫌なんだけど、なぜか魅力的というか。何もできないし、そんなに能力もないんだけど、何かをしなきゃいけないというか、何者かにならなきゃいけないともがいているというか。母と妹を養うだけで、立派だと思うんだけど。 「塵に訊け」のアルトゥーロよりも若くて暴走気味なのがめちゃくちゃ面白くて、電車の中で読むのが大変だった。2024/06/18
罐
1
哲学や文学風のことをやってることが誇りの主人公。周囲の人に対して見下したような、かなり挑発的な言動を取る。『愚か者同盟』の主人公っぽさがあった。悪口の言い方は北町貫太感もあり愉快だった。2024/01/29
小泉
1
がたん。なんだこれ。知るか。椅子だ。壁際に椅子があったからとりあえず座った。 p682021/01/25