内容説明
中世14世紀のロシアの曠野を舞台に青年アリョーシャの成長を描きまだ誰も読んだことのないロシア文学の古典かと見紛う目眩く完成度の傑作。文学的に魂を育んだ抒情言語が紡ぐ人と運命、積年の研鑽が可能にした詩的言語と散文との融合、この優れた作品の誕生に立ち会える至福。
目次
春の夕べ
筏
焚き火
青い雨、青い川
ドラゴン
ヴォルガの別れ
雷鳴
駅逓家の夜
夢で
岐路〔ほか〕
著者等紹介
工藤正廣[クドウマサヒロ]
1943年青森県黒石生まれ。北海道大学露文科卒。東京外国語大学大学院スラブ系言語修士課程修了。現在北海道大学名誉教授。ロシア文学者・詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
22
14世紀のロシア、ネルリ川のほとりで、業病に罹った父親は少年アリョーシャと別れ、広野へ踏みいって姿を消す。アリョーシャは筏に乗った修道士たちに同行し、遙か遠くの修道院を目指して旅立つ。旅の途中の美しき出会い、不思議な縁に導かれてフレスコ画を描く老師の元で修行を始めんとするとき、その地を襲った戦乱により、かつて話に聞き、渇仰していた貴婦人との対面が叶う。ロシア文学を敬遠してきたワッピーも、この悠久の大地、美しくも厳しい自然、そして戦乱のむごさとそれに立ち向かう信仰の精神性に魅了されました。美しい物語です。2019/08/15
素人
1
中世ロシアを舞台に青年アリョーシャの遍歴を描く。基本的には物語はアリョーシャの視点から語られるのだが、アリョーシャの夢という形で彼が本来目にしえなかった場面を描く部分もあり、視点の取り方は独特。登場人物の関係も錯綜しており、一回目を通しただけでは読めた気がしなかった。2019/04/28