内容説明
19世紀末ロンドン、自転車と車がこの世に現れた頃、ダンヒル家の父親はパイプタバコを売る商売を始めた。三人の兄が手伝う家業に独立心に目覚めた末娘メアリーも加わる。二つの世界大戦を経てダンヒル家にも様々な喜びや悲しみが…。個性的な銘店であった“アルフレッド・ダンヒル”を世界的ブランドへと展開した彼女の手腕、そしてその人生。
目次
デュークストリートのタバコ店
祖父から父へ
新しい事業
第一次世界大戦
パイプ製造の成功
父のヨット遊び
女子寄宿学校
ダンヒル入社の頃
メアリー・ダンヒル開業
父の引退と私の結婚
第二次世界大戦の頃
バーティ叔父さんの死
経営の刷新
会長職就任
事業の海外展開
ダンヒルグループの成長
著者等紹介
平湊音[タイラミナト]
富山県生まれ。東京大学教養学部卒業。予備校や出版社での勤務を経て、現在は英語教育のほか、執筆、翻訳、編集に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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氷柱
6
304作目。3月19日のみ。図書館本。dunhillのロゴは良く見かけ、男性物のトップブランドであるというイメージはあったのだが、果たしてどんなブランドなのか知らなかったので手に取ってみた。元々は馬具を専門に扱っていた小さな商店だったのだが、それを娘が引き継ぎ事業を拡大した結果、現在のようなアパレルとしての一流の地位を手に入れたとのこと。ダンディーなおじさまが運営していると思っていたが、実は強かな女性が牽引していたのだ。ちなみにCEOなどの情報を調べても名前以外の情報は日本語のサイトには殆ど出て来ない。2017/03/19
スプリント
4
有名ブランドであるダンヒルの創業者一族の歴史です。家族の問題や全米進出と戦争、大不況など様々な問題を如何に乗り切ってきたのかを知ることができます。2017/04/23
luminoso
1
ダンヒル「家」の仕事という題に含みがあり、この本が語っているのは1970年代ぐらいまでの古い話で、現在は創業者一族は経営に関与していないという事情らしい。黒光りする革財布が好きで興味を持ったブランドだが、父の世代の間はタバコやライターのブランドとして一世風靡したようだ。題名とは裏腹に、ダンヒルという会社の話というよりメアリー個人の思い出話が多く、恋人との束の間の逢瀬など、何であられもない話を書くんだろうと呆れたり、父アルフレッドの変人ぶりに苦笑させられたり、破天荒な逸話が続いて最後まで飽きずに読んだ。2017/03/10
doji
0
なんとなく手に取った本だけれど、ダンヒルの社史というよりはメアリー・ダンヒルの自伝といった趣で、会社や事業よりも戦争をまたぐイギリスの20世紀の雰囲気であったり、父や次女たちの繊細な横顔を捉えた描写、自身の転機におけるこころの揺れを描いた丁寧な一冊だった。映画『ハウス・オブ・グッチ』でも感じたけれど、家族経営の会社には大きいようで小さなストーリーがたくさんある。2023/02/01