内容説明
時代も生い立ちも異なる明石海人と島比呂志。二人は“ハンセン病”という一点で結びつく。“癩”と刻印されて療養所に強制隔離され、想像を絶する苦痛と孤独と死の恐怖の中で彼らは言葉をつむいだ。社会的アイデンティティのすべてを剥ぎ取られる極限状況のもとで存在の原点を凝視し、神谷美恵子の言う「極限のひと」として文学の根源を問いつづけた。燦然と光を放つ各々の作品を、気鋭の研究者がそれぞれの「深き淵」を共有しつつ読み解く、渾身の評論集。「島比呂志からの手紙」(新潟日報連載)一二〇枚を増補、13年振り新版!
目次
海の蠍―明石海人への旅(「癩」であること;歌集『白描』の世界)
人間への道―島比呂志の地平(「人間」として;囚われの文学―島比呂志を読む)
島比呂志からの手紙―「らい予防法」を越えて(島比呂志との交流)
著者等紹介
山下多恵子[ヤマシタタエコ]
1953年、岩手県雫石町生まれ。高校教諭を経て、現在長岡工業高等専門学校非常勤講師。国際啄木学会理事。日本近代文学会会員。『北方文学』同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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