内容説明
時は、一九三〇年代戦火迫る謀略の上海。英、日、中、ソ、五人の少年少女が運命の糸に操られつつ、繰り返す再会と別離の物語。いずれも故郷を知らず、戦乱の雲の下、明るく生きてゆく。やがて星移り、時変わり、平和の代わりにテロがぎた。国境とは、国家とは、難民とは、友情とは。作家と平和運動の葛藤を問いつつ20世紀を華麗に生きた少年たち。しかし時代は21世紀にむかいまっしぐらに破滅へ―戦前戦中の上海体験をもとに、脱走兵救援活動、ペンクラブの作家たちとの苦闘、中露の最新の未発表文書をとりこみ、年代、実名、入り混じり、SF・映画・現代語に紛れ込み、イマジネーションとエビデンスの雲海を行く。「三銃士」か「百年の孤独」か、新形式のハイパー・スパイ小説。
著者等紹介
小中陽太郎[コナカヨウタロウ]
1934年神戸生まれ。1939年銀行員の父の転勤で、上海へ。1943年病弱で母と帰国。1958年東京大学仏文科卒、NHK入局。1964年東京オリンピック時退職、1965ベ平連結成に参加。1967年以降、執筆、市民運動、日本ペンクラブ理事。1968年野坂昭如、生島治郎、五木寛之らと日本ペンクラブ理事、尾崎秀樹会長を常任理事として支える(のち専務)。バルセロナ、カラカス大会などの日本代表。1983~84年フルブライト交換教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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