著者等紹介
ベリャーエフ,アレクサンドル・ロマノヴィチ[ベリャーエフ,アレクサンドルロマノヴィチ] [Беляев,Александр Романович]
ロシアのヴェルヌとも呼ばれる、ロシアSF界の第一人者。1884年3月16日スモレンスク市の司祭の息子として生まれ、法科学校卒業後、弁護士、新聞編集長として働く。1916年、脊椎カリエスを発症し、首から下の自由をなくして療養生活を余儀なくされるが、22年に療養生活を終え、民警、幼稚園などを経て郵政省職員となる。療養生活の体験を生かし、25年、雑誌『世界探検』に処女作『ドウエル教授の首』を発表、翌26年、郵政省を退職して専業作家となる。1942年1月6日、ドイツ軍占領下のプーシキン市で死去
田中隆[タナカタカシ]
1964年、千葉県船橋市内に生まれる。県内の高等学校卒業後、ロシアへ留学。ハバロフスク国立教育大学ロシア語コース卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゅー
14
ハチャメチャSF。不眠薬、疲労回復薬を調合し、永遠に働き続けることが可能となったワグナー教授がもたらす災難の数々。なんとなくそれっぽい知識をもとに、それを科学と言いはって物語の推進力とする力任せ加減が魅力的。特に飛行中の飛行機を別の飛行機が拿捕するくだりは圧巻。はしごから降りてきた人物が開いてる窓から入ってくるんだ。オイオイと突っ込みながら読み進める楽しさ。しかし『ドウエル教授の首』に比べると本作は奇想天外なアイデアが勝っており、いまひとつ物足りなさが残った。2015/02/25
スターライト
5
マッドサイエンティスト、ワグナー博士の驚異の発明品(?)による騒動を、当時の社会風刺も交えながらユーモアたっぷりに綴る。人から睡眠をなくし、右脳と左脳を別々に働かせて活動させたり、極小宇宙を創造したり(!)、人体を透過させたり、いやはやなんともハチャメチャだ。その発明を奪おうとするドイツの組織〈ディクタトール〉も含めて、何だかタツノコプロのアニメを見ている感じ。読者は、あまり真に受けることなく、博士の発明による珍騒動を楽しめばそれでよい。2015/04/02
llll'
3
まさかハミルトン以前に「フェッセンデンの宇宙」を書いてしまうとは。石原藤夫の「無抵抗人間」的な考察も出てくるし、なかなか侮れないぞ、ワグナー教授シリーズ。『アフリカの事件簿』も楽しみ。この勢いでベリャーエフをもっと訳出してほしい。2014/12/22
春風
3
ツッコミ処満載の楽しい古典的マッドサイエンティスト小説。科学のためなら法律や人命すらなんとも思わないワグナー教授のキャラが素敵。2014/10/24
ぴかぽん
1
ロシアSF文学の第一人者であるベリャーエフの短編小説。東欧小説は日本ではマイナーな感があるが、SFやファンタジーなど独特な世界観に彩られた幻想性豊かな面白い作品が多いのでもっと触れていきたい。ワグナー教授が次々に様々な発明をして、周囲の人間や社会がその発明の驚異の影響力に翻弄される。眠気と疲れを無くす薬による人間の知的・生産活動の拡大、物質を透過できる幽霊人間、地球の自転速度上昇の遠心力による重力の反転、完璧な体温調節機能を備えた熱人間など、自由自在な科学的発想力によるコミカルな物語。社会風刺系ではない。2019/03/13