内容説明
ランスの癌、蔓延するEPO、衛星放送の導入、拡大するスポーツ・ビジネス。復帰後のランスが中心となって変えていったクラシックレースの形。ビジネス先行、不正を黙認する組織やスポンサー。連勝中のランスを追いかけ、取材を続けていた紳士の国イギリス出身の著者の忸怩たる思いは徐々に記事や行動にも現われ、反ドーピング陣営として取材拒否の憂き目に遭い、多くの選手たちの悲しみをも眼にすることになる。このスポーツを愛していたからこそ許せなかった。93年から06年のツール・ド・フランス―*日本語版のためのエピローグ収録。
著者等紹介
ホイットル,ジェレミー[ホイットル,ジェレミー] [Whittle,Jeremy]
スポーツ・ジャーナリスト。93年から自転車競技の取材に入る。TimesやSunday Heraldの自転車頁を担当した。テレビ、ラジオなど各メデイアで活躍
山形梓[ヤマガタアズサ]
1976年群馬県生まれ。南仏ニース大学にて翻訳の基礎を学ぶ。07年からフリーの通訳・翻訳者として活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ringring2612
2
ツール・ド・フランスのブラックな部分は、最近ではアームストロングの件だけだと思っていたので軽くショック。自転車競技以前に、薬物に対する日本とヨーロッパの認識の違いもあるのかな。日本ではあまり考えられない発言の数々に複雑な読後感。作品自体は読みごたえ満点で素晴らしいと思うけれど、最後の翻訳者の後書きが酷い。色々と事情が有ったことは察するけれど、後書きに書いて良い事とそうでない事があるのではないだろうか。2015/06/12
vonnel_g
0
自転車界きっての大スターであるランス・アームストロングとドーピング疑惑(執筆時点)について。薬物汚染は自転車レースが巨大産業になるにつれ、自転車競技を覆う影となって業界を支配して行く。マルコ・パンターニの死をめぐる一章と、アームストロングとロビン・ウィリアムズが親友だったという下りに胸をつかれる。アームストロングはこの先どう生きるんだろう。2014/12/09