著者等紹介
ザトゥロフスカヤ,イリーナ[ザトゥロフスカヤ,イリーナ] [Zatulovskaya,Irina]
1954年モスクワの画家の家庭に生まれる。幼少時から詩を創り絵を描くが、絵画とグラフィックを正式に学び、最初の個展は1989年のロンドン、以後世界各地で開催。2002年モスクワ美術家同盟よりディプロムを授与される。2012年「開港都市にいがた 水と土の芸術祭」に招待され、作品を制作。フレスコ、絵画、陶器、書籍デザイン、詩作、刺繍等広範囲に活躍
工藤正廣[クドウマサヒロ]
1943年青森県黒石生まれ。北海道大学卒。現在同大学名誉教授。ロシア文学者・詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マリリン
49
何とも滑稽でシュールな味わい! 朝食のパンに鼻が入っているという異物混入。鼻は何を象徴するのだろうか? と考える。 理髪師イワン・ヤコヴレヴィチの言動が怪しい。突然鼻を失った哀れなコヴァリョフ少佐の狼狽ぶりと五等文官になりすました鼻。噂は誇張し尾ひれをつけて飛び交うのが常。本来あるべきものが定位置に戻った時の喜びの表現がロシアらしい。掴み切れなかった感があり、深読みしてみたくなる。他訳で読んだら味わいが異なるかもしれない。2023/08/16
gtn
22
鼻とは、"世間体"だろうか。周りはそんなこと何とも思っていないのに。だがいったん、元に収まると、取り越し苦労は雲散霧消。人は愚かだがその繰り返し。なお、訳者はゴーゴリの喜劇は太宰に影響を与えたと推測。確かにその諧謔は似ている。2025/02/22
そのじつ
14
面白い。ありえない話。逃走したばかりか、しれっと持ち主より上級の官吏に身をやつしている鼻。にくたらしい。小バカにしている。さらに方々で侮辱したりされたりした挙句のあの収束のつき方。何も変わらない彼の様子に苦笑いしてしまう。でも皮肉だけじゃなくって、そんな彼らを嫌っていないゴーゴリの笑みが感じられる。そこが素敵だ。物語の主になるのは2章と3章だと思うが、私は1章の理髪師イワン・ヤコヴレヴィチと彼の奥方プラスコヴィヤ・オシポヴナのくだりが大好き!傍若無人な強権を夫にふりかざす主婦と黙って従うアル中夫。定番です2017/07/23
陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
11
初ゴーゴリは、「外套」小6。イワンの馬鹿シリーズや、エドガー・ポーの黄金虫にハマっていた頃。そして今回手にする。ロシア文学のユーモアが大好きだ。鼻の部分のユーモアよりも、人物像の表現に、ニヤリとせずには居られない。明日から、パンを食べる時には注意しよう(笑)中学くらいに出会ってたらば、給食の度に一人爆笑していたろうに!巻末の訳者からの登場人物への手紙に、さらにニヤリ。このくらいのユーモアのセンスがないとロシア文学へ到達出来ないのかも!鼻と言えば、芥川龍之介だけれども、太宰治的笑いのおもてなしのセンスか、な2013/12/09
hatman
8
シュールな喜劇なのだろうが、意外性で驚いたくらい。鼻が外套を着て歩いているのは全くイメージができなかった。2024/07/07