内容説明
アイルランド、コークが生んだ短篇の名手フランク・オコナー、厳選した珠玉短篇の新訳。
著者等紹介
オコナー,フランク[オコナー,フランク] [O’Connor,Frank]
1903年アイルランド、コーク市生まれ。アイルランドを代表する短篇作家。正規の学校教育は12歳で終わったが、ロシア文学、ゲール語の詩などを含む多くの書物を精読、その後、司書となり、イエーツとともに文芸協会を作り、検閲法に反対。渡米後はいくつかの大学で講師をつとめ、講義録も出版されている。1966年アイルランドで死去
矢谷雅子[ヤダニマサコ]
関西学院大学文学部英文科卒業。高校教員を経て、翻訳を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
35
少年視点の短編が秀逸。子供ってそうだよね、素直だよねと再認識させられる。おとーさんがお母さんに焼き餅をやいてるんじゃなくて、君がおとーさんに焼き餅をやいてるんだよ!隣家の睦事をインテリっぽい少年にそそのかされて覗き見しようとして、深遠な姿にかえって心を洗われてしまったり、弟をぎゃふんといわせようとしてその通りにならなかったお姉ちゃんがなんともいい味。2016/07/30
belle
5
読みながら思わず頬がゆるんだりする場面があるのは、前半の少年の物語である。母に甘える気持ち。父への複雑な感情。信仰や友だちのこと。どれをとっても一大事だが、少年は無邪気で懸命に立ち向かう。そんな姿が愛しい。後半は様々な人生模様が続く。途切れてしまったようでもどこかつながっている人々の話に引き込まれた。皆それぞれのやり方で思いを遂げる。アイルランドに浸された読書体験。作家フランク・オコナーの作品をもう少し読んでみたいので、岩波文庫版を探してみよう。2019/10/28
バナナフィッシュ。
5
愛おしい小さな男の子。何とも無邪気で可愛らしい。母親に駄々をこねる様子も、父親に向ける反抗的な眼差しも、彼の小さな世界に潜り込んで、その小さな瞳から世界をもう一度見直しているみたいだ。全てのことが大事だったあの時代。2019/05/25
みけのすずね
3
アイルランドの作家フランク・オコナー短編集。呑んだくれの父親やお使いの品をちょうだいと言う少女や、良い子を演じる姉に困惑する少年たちのドキドキが伝わってくる。「ありえない結婚」は因習的な村では理解されなかったかもしれないけど、自分たちが正しいと思うやり方でできて良かった。後悔のない凛としたアイリーンの言葉に思う。どっちつかずでも、今のままでもいい。この上なく幸せならば、他人に理解できないものでも。2019/09/23
ドラゴン
3
子供の目線から観る20世紀初頭のアイルランドの家庭。たいてい父は飲んだくれており,そんな父に母はたいてい愛想を尽かしている。当時のアイルランドの一般労働者ってこんな生活なんだろうなと思うと興味深い。子供の目線で家庭,社会を捉えようとする試みは新鮮であり,おもしろかった。自分自身の子供時代の気持ちを少し思い出すような感覚もある。2014/02/19
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