著者等紹介
加藤幸子[カトウユキコ]
1936年札幌市生まれ。41年両親とともに北京へ渡り、47年引揚船に乗り帰国。北海道大学農学部卒業。農林省農業技術研究所に勤める傍ら、「三田文学」に作品を発表。72年自然観察グループ「小池しぜんの子」代表として活動を開始。82年「野餓鬼のいた村」で第十四回新潮新人賞、83年「夢の壁」で第八十八回芥川賞、91年『尾崎翠の感覚世界』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。鳥類学者樋口広芳、ピアニスト島田璃里とともにグループ「グリーンボックス」を立ち上げる。2002年『長江』で毎日芸術賞受賞。08年から財団法人北海道文学館顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hisashi Tokunaga
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加藤さんは大田区の野鳥公園の設立に尽力される一方で、精力的な文筆活動を進める小説家だ。「家のロマンス」は世田谷区若林の旧北原白秋邸に祖父が転居したそこが彼女の成長する家であり家族であり、親戚関係が形成される小宇宙となった。本作品は自史に近いのであろう。地域あるいは向こう三軒両隣りの記述はわずかである。つまり、家族こそが世界であり世間なのだと深く考えさせられる。祖母に託された「ARS」としるされた豪華装丁のノートこそヨシノの世界。「池辺の棲家」は再読。洗足池の描写に加えて八幡神社の神主曾良の言動に再び共感。2016/05/20