目次
1 とし子の死
2 とし子の浮上
3 とし子を求めての旅
4 あきらめの傷心
5 銀河鉄道の夜
6 二心同在
7 雨ニモマケズ
附録1 ヨーロッパのケンジ
附録2 私はやさしい雨のしずく
著者等紹介
宮澤賢治[ミヤザワケンジ]
1896年、岩手県花巻市生まれ。盛岡高等農林学校卒。近隣の貧しい小作農民たちの物心両面にわたる救済を期し、1926年教員生活に終止符を打って羅須地人協会を設立、農民芸術の振興に邁進する。志半ばにして病を得、1933年早世。盛岡中学在学中より創作に励むが、22歳で初めての童話を執筆、以降、創作と農業指導に献身した
井上文勝[イノウエフミカツ]
1944年秋田県生まれ。1966年明治大学工学部を卒業。同年ホロコースト研究の目的でイスラエルに渡り、特別奨学金を得て国立イスラエル工科大学で修士の研究をする。1969年第三次中東戦争でイスラエルの占領下となったエルサレム近郊のアラブ村に移り住み今日に至る。1995年、戦後50周年を記念して加藤剛主演の舞台劇「コルチャック先生」を実現。2010年日本初の「ヤヌッシュ・コルチャック国際会議」を東京明治大学にて現実。日本ヤヌシュ・コルチャック協会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
109
妹とし子について書いた賢治の詩を集めたもの。再読。前回詠んだ時は「永訣の朝」が一番心に響くと感じたのだが、今回は一連の挽歌に感情移入して読んだ。とし子を失った傷心の賢治の心に目に映った心象は、透きとおるように美しい。とし子の色は「青」だと賢治は書いている。賢治の色も「青」のような気がする。自分の「青」をとし子の「青」に混ぜ合わせるために、挽歌の詩を書き継いでいったのではないかと思った。2017/03/22
新地学@児童書病発動中
108
賢治の妹とし子を主題にした詩を集めたもの。編者によってとし子と賢治のかかわりも詳細に書かれており、収録された詩の理解を深めることができる。賢治の詩は難しいが、とし子のことを書いたものは胸の中にすっと入ってくる。それだけ心がこもっているのだろう。とし子のことを書いた詩をまとめて読むことで、改めて宮沢賢治の素晴らしさが分かった。誇張した言い方をすれば、賢治の詩はこの世界を超えて、宇宙そのものに直接つながる豊かさと美しさを持っているのだ。大切な人を亡くした時に本書を読めば、大きな癒しになると思う。2015/02/11
やこ
0
この本に出会えてよかった。小さいとき彼の伝記漫画を読んだ際は、この人の生涯が理解出来なかった。どうして、そこまで、と思うことも多かった。大切な人を失った今、この本を読んでみて彼の妹、とし子さんの死から始まった彼の心象の移り変わりと信念を感じることが出来た。解説があって詩を読んだだけでは分からないであろう解釈を知れた。彼と同じ時代に遠くヨーロッパで同じ考えを抱いていた人がいたこと、また千の風になっての基であろう詩は感慨深い。沢山のものを受け取ってきた人生、これからは私も人のために何か与えられる人になりたい。2020/06/02
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