内容説明
ナポレオン戦争後のヨーロッパを舞台に、ロシア皇帝アレクサンダー1世や歴史に残るエーベルバッハ修道院の院長リントパイントナーなど、歴史上実在の人物を織り込みながら紬ぎ上げるファンタジー。
著者等紹介
ヴァルスツェック,クリスティアン[ヴァルスツェック,クリスティアン][Waluszek,Christian]
1952年ポーランド生まれ。大学でドイツ及びスラブ文学を学ぶ。ボッフムの学校でドイツ語、ロシア語、音楽を教え、青少年の演劇活動に従事している中から、青少年向けの作品が生まれた
高柳英子[タカヤナギエイコ]
1948年、福岡生まれ、ドイツ語塾主宰、ドイツ児童文学翻訳家。2006年『正しい猫の数え方』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すけきよ
5
YA小説だからなのか、リーダビリティはすこぶるいい。主人公のビルドゥング・ロマンスではあるけれど、正体不明の人形遣いの存在感が圧倒的。物語は、歴史物なのか、ファンタジーなのか、それともミステリなのか判然としないまま、ラストまで一気読み。現実なのか、幻想なのかなかなか見極められない物語に対して、その合間を行き来するマリオネットを中心に据えているというのが上手い。謎の真相は、日本人には馴染みのあるオチなんだけど、あれって西洋が元ネタと聞いたような。作中では東洋に原型となってるけど、どっちが正しいのかしら?2009/09/09
topo
4
ファンタジーかと読み進めるもミステリの雰囲気を帯び始め、終盤にかけ怪奇めき頁を捲る手が止まらぬ面白さ。影のある人形遣いと人形造りの天才少年が織り成す物語は苦悩と死の恐怖が感じられるも幻想的かつ大河小説のようで読み応え抜群。2022/01/11
fukafkacraft
2
うっすら怪奇色をまとった東欧幻想譚。素晴らしい作品なのに登録者が少ないの謎。ドイツ児童文学アカデミーが青少年向き図書に選出したファンタジーYA小説とのことだが、普通に大人向けの幻想的ミステリ小説だったの謎。だから漢字にルビだらけかもと心配だったが、ルビは一切なしの謎。ロシア皇帝の前で人形劇を演じる野望を軸に描かれるが、人形遣いが主役ではなく、木彫り人形作り少年のビルドゥングスロマンだったの謎。でも、読み終えるとなぜか小学生時代に体験した懐かしい読後感をもたらすの謎。2017/09/08
onion
2
おもしろかったです。ゴシックでダークな人形遣いの脳内描写と、YA小説の少年の成長話が絡み合ってて、独特な小説世界。ミステリーとしても、なかなか秀作。ラストのオチがYA寄りでポジティヴなのが◎、人形師の複雑な過去にも説得力あり。2012/11/15
AR読書記録
1
んー... 期待よりは普通だったかな... そして不幸になったひととそうでないひとに差があるのが、ちょっと気にはなるんだ... どうしてもネタバレに近づいていくからもうやめるが... しかし人形遣いといえば、こないだのグレッグ・イーガン(とかのサイバネティクス系SF)であったり、また人形遣いではないけれどスタージョン(『夢見る宝石』のカーニヴァルの座長)だったり、その言葉だけでいろいろと想像とイメージがふくらむ存在ですわな。これはとてもストレートに人形遣いだったけども、もっといろんな人形遣いもの読みたい。2017/07/31
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