チェーホフ・コレクション 泥棒たち

チェーホフ，アントン Ｐ．【作】/ワレンチン・オリシヴァング【絵】/中村 喜和【訳】

未知谷（2009/07発売）

• サイズ A5判／ページ数 61p／高さ 22cm
• 商品コード 9784896422733
• NDC分類 983
• Cコード C0097

内容説明

吹雪の中の迷い道ようやく辿り着いた宿屋には悪名高き、馬泥棒たち…果たして、准医師エルグノフは馬を盗まれずに朝を迎えられるのか？物事に動じない粗野で逞しい彼らと官能的な宿の二十歳の娘にエルグノフは魂の自由を見る―。

著者等紹介

チェーホフ，アントン　Ｐ．［チェーホフ，アントンＰ．］［Чехов，Антон　П．］
１８６０‐１９０４。庶民の子として生まれ、中学の頃から苦学を重ねた。モスクワ大学医学部在学中も家計を助けるため、ユーモラスな短篇を多数の雑誌に発表。社会的関心も高く、結核を患いつつ社会活動や多彩な創作を展開した。鋭い視線で市井に取材し、ありふれた出来事の中に人生の深い意味を描き込み、社内の醜さを描きながらも明るい未来を予感させる作品が多い

オリシヴァング，ワレンチン［オリシヴァング，ワレンチン］［Ольшванг，Валентин］
１９６１年スヴェルドロフスク（現エカテリンブルク）生まれ。１９８０年スヴェルドロフスク美術学校演劇美術科修了。１９８１‐８６年国立モスクワ映画大学アニメーション美術監督科（Ｖ．クルチェフスキー・スタジオ）で学び、卒業後、スヴェルドロフスク映画撮影所でアニメーション映画の美術監督及び助監督として働く。１９９７年Ｙ．ノルシュテイン・スタジオのシナリオライター及び監督上級コースの聴講生となり、現在、同スタジオの美術監督。現在モスクワ在住

中村喜和［ナカムラヨシカズ］
一橋大学でロシア語を学ぶ。日本貿易振興会勤務の後、東京大学、一橋大学、共立女子大学で、ロシア語を教える。専攻はロシア文化史。日露関係史にも関心をもち、論考を発表。著書・訳書は『聖なるロシアを求めて』（平凡社、大佛次郎賞受賞）等（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[S.Mori]

チェーホフらしい作品です。医師の仕事をしていた主人公が自由と面白おかしい生活を求めて泥棒になろうとしますが、うまくいきません。彼の胸の中には苦い自嘲が広がるばかりです。普通の短編のようにオチがあるわけではありません。登場人物達も冴えない人間ばかりです。読者も主人公と同じように人生の苦さを噛み締めることになります。チェーホフはこのように人生の救いのなさを描きながら、その向こうにあるものを求めた文学者でした。その試みは晩年の四大戯曲で結実することになります。

2019/12/04

[suzuki-takefumi]

当時のロシアの日常風景というか、空気というのはこんな感じだったんだろうか。それにしても「暗いなあ」という感じの作品だ。どうもロシアの小説は権力者と犯罪者が最後に笑うような結末が多い気がする。

2012/11/25

[保山ひャン]

吹雪で道に迷った准医師は、酔っぱらいと泥棒たちが集う宿屋で休むことにした。そこはまさに無法地帯。准医師は、彼らの自由な生き方に強烈に惹かれる。「朝は早く起きろとか、食事は正午にせよとか、夜は眠れとか、院長は准医師よりえらいとか、自分の妻だけを愛せよ、などということはだれが考え出し、だれが命令したのだろう？その逆ではなぜいけないのか？真夜中に食事したり、昼間に眠ったりしてはいけないのか？」お～、悪魔のささやきだ。でも、僕も悪魔側の人間だな。

2015/08/13

[ちあき]

准医師エルグノフがある大雪の一夜を境に転落する物語。ハードボイルドだ。

2010/03/02

[takuya]

準医師ｴﾙｸﾞﾙﾌ、泥棒、自由奔放ﾘｭｰﾌﾟｶ＠宿屋→火事

2010/01/21