内容説明
昭和二年の春、アメリカの子どもたちから一万体を越えるお人形が贈られた。徳島にやって来たアリスちゃんのその青い目に、愛らしさに子どもたちの目もまた輝き始める。やがて始まった太平洋戦争―時代の嵐に巻き込まれながらもアリスちゃんに託された願いをずっと守り続けた、正子先生と生徒たちの実話物語。
目次
1 よう来たのう
2 アスナロ学級
3 学校葬
4 ススメススメヘイタイススメ
5 天の怒り
6 鬼畜米英
7 闇に光る目
8 朝はふたたび
9 笑顔いっぱい
10 ペンシルバニアの空
著者等紹介
原田一美[ハラダカズミ]
1926年徳島県生まれ。徳島師範学校本科卒業。以後県内の小・中学校で教職にたずさわり、徳島市、県の教育委員会などに勤務。1987年3月、徳島市富田小学校を最後に退職。現在は執筆を中心に活躍し、その講演には定評がある。元日本児童文学者協会徳島支部会長、徳島ペンクラブ理事。主な作品に『出会いがあって』(第1回石森延男児童文学賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なかちゅう
5
日本とアメリカの子どもたちの友好のために贈られた青い目の人形。歓迎されたはずの人形が、戦争のなかでは憎しみと迫害の対象となる。その状況下で四国の山の中の学校で「アリスちゃん」を守り抜いた正子先生と教え子たちの話。一番心に残ったのは、アリスちゃんのことを軍に密告しておきながら(たぶん)、玉音放送直後に今度はアリスちゃんを神棚に飾るといった教頭の存在。本人は「機を見るに敏」と思っていたのかもしれないが、ものすごく腹がたった。実際にこういう教育者がいたんだろう。その為信念貫いた正子先生のすごさが際立った。2016/09/25