著者等紹介
ゴーゴリ,ニコライ・ワシーリェヴィチ[ゴーゴリ,ニコライワシーリェヴィチ][Gogol,Nikorai V.]
1809‐1852。ウクライナ出身のロシアの作家。若くして首都ペテルブルクに出て下級官史の貧困生活を送りながら作家となった。喜劇『検察官』の上演後、反動家たちの攻撃を受け1836年出国。パリ、ローマなどに住みつつ執筆を続けた。作品には地主階級の道徳的頽廃や官僚社会の矛盾や不正を鋭く諷刺するヒューマニズムが色濃く出ている。プーシキンとともに批判的リアリズム文学を確立し、19世紀ロシア文学の礎を築いた
児島宏子[コジマヒロコ]
映画、音楽分野の通訳、翻訳、執筆に広く活躍。日本絵本賞ほか受賞
ノルシュテイン,ユーリー[ノルシュテイン,ユーリー][Norshteyn,Yury]
1941年、疎開先のアンドレーエフカ村生れ、1943年からモスクワ在住。1961年、アニメーション美術上級コース卒業。映画作家S・エイゼンシュテインに触発されアニメーション作家となる
ヤールブソヴァ,フランチェスカ[ヤールブソヴァ,フランチェスカ][Yarbusova,Francheska]
1942年、カザフスタン生まれ、モスクワで育つ。1967年、モスクワ映画大学美術学科卒業。ノルシュテインの佳き伴侶であり、作品の美術監督を務める。繊細で美しい映像には定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
105
アカーキーは、小役人として他の誰にも真似できぬほど几帳面に仕事をし、つつましく暮らしていたのに、なぜ悪霊と化してしまったのか。外套を手に入れる努力や工夫がなぜ破滅へとつながったのだろうか。彼自身の閉鎖性が気になった。彼は困った誰かに手を差しのべたことも、誰かの幸福を願ったこともないよう思う。みようによっては、ケチな利己主義者と言えはしまいか。物への過度の執着は自らを滅ぼすのかもしれない。他人を傷つけることがなくても。2015/05/07
星落秋風五丈原
46
生まれた時から彼は不憫だった。赤ん坊に名前をつけようと母親は見回すが、ろくな名前がない。そこでアカーキー・アカーキエヴィチと名付けられる。相変わらずぱっとしない人生を生きていた。そんな彼がすりきれた外套を買い替えようと一大決心。貯金をはたいて立派な外套を手に入れるが、あっという間に追剥にあい奪われてしまう。 「身分相応に生きていればよかったのに」という教訓を与えたいならば、その後の展開はあまりにも苦い。「ぼのぼの」シマリスくんの「いぢめる?」を思い出した。いやあなんといいますか最後はホラーですねこれ。2022/04/13
Miyoshi Hirotaka
27
下級役人アカーキーは、いかなる敬意も払われることのない、職務に忠実な清書係。修理不能となった外套を新調するべく痛ましい程の節約を重ね、年収の1/4を投じるが、一夜にして盗まれてしまう。北国の必需品で、これがなければ、職場に行けない。この危機と悲劇に対し、様々な努力や援助が行われるが、結果は悪い方へ。仕事への忠実さ、地位にふさわしい厳格さ、他人への小さな善意。一つ一つは当然至極なものだが、全体としては、望みたくない不条理に変化する。それは、アカーキー一人だけの問題ではない。あらゆる人が同じ矛盾を抱えている。2013/12/31
踊る猫
24
なんと哀れなアカーキー・アカーキエヴィチよ! 「です・ます」調で訳された極めて平明な訳文で読むと、貧乏な役人の可笑しくも悲しいペーソス溢れる生活が生々しく感じられる。笑ってはいけない話である。スジだけを整理すればむしろ悲劇そのものなのだけれど、でもやはりゴーゴリの筆は哀れな役人の運命をコメディとして描いているように思われて仕方がない。装画が生み出すアニメーションならではの誇張された哀れみがまた渋い。寒風吹き荒ぶペテルブルクで、ただ独り外套を求めて足掻く男の孤独を想像するとなんだか泣けて来る。実に寂しい……2016/08/13
貴
16
報われない不幸が書かれいてるのか ? 、ささやかな生活でも仕事がありそれが好きならば、幸せかもしれないと感じました。2022/10/18
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- 洋書
- Serge Panine