内容説明
横浜外国人居留地の英語学校に通う助太郎、元幕臣の子息という行先の不安の中に東京の新聞社頭取ブラックに出逢い、御一新後の新しい時代に自らの道を見出す。若い世代の息吹―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
でろり~ん
0
やっぱり小説はいいもんだなあ、と思わせてくれる一冊でした。天狗さんも良かったけれど、なにも活劇部分が好いというのでもなし、日本人を書いているってことだよね。にしても、これを書いたのは戦後すぐ。帰郷も同じころの小説だということを考えると、変わらざるを得ない世の中を捉えようとしたんだろうと思いますね。徳川幕府の瓦解。一面焼け野原になった戦後の日本。生きている人間には意地もあって、昨日まで信じていたものを忘れろと言われて、簡単に納得できるものでもない。でも、生きていくためには前を見て歩きなさい、ってことですか。2019/11/25