内容説明
象徴派の詩から離れたアクメイズム派のさきがけ、平易な叙情詩人アンナ・アフマートワの処女詩集。4行のスタンザを57577の一首に。一篇が6連なら六首で構成。完全なる邦語短歌へと変成。全186首。
目次
第一の(キエフ)ノートから
二つの詩
「ハムレット」を読み
はじめての帰郷
愛
皇帝村
最後の出会いの歌
埋葬
錯誤―マリヤ・ゴーレンコに
歌〔ほか〕
著者等紹介
アフマートワ,アンナ[アフマートワ,アンナ][Ахматова,Анна]
1899‐1966。オデッサ生まれ、サンクトペテルブルク郊外で育つ
工藤正廣[クドウマサヒロ]
1943年青森県黒石生まれ。北海道大学卒。現在同大名誉教授。ロシア文学者・詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
M
7
20世紀のソヴィエト動乱期を中心に生きた詩人が変転するロシア社会の中で揺らぐアイデンティティを保てたことによって生まれた結晶のように思えた。歌の数々には白夜を始め、ロシア独特の情景が散りばめられつつ、視点の切り替えが独特で、主語の入れ替わりや記憶と場所の不一致が見られ、寒さと境遇故の意識の朦朧の状態の中で、自分の渦中を表現せざるをえない緊迫さも感じた。極寒の静かな大地に対し、風を変動する生命のように捉え、運河の流れなさに自分の運命を重ね合わせる様は川の流れに人生を見た方丈記よりも過酷だったように思える。2019/11/25
takao
2
ふむ2025/01/20
Mark.jr
2
海外の詩の翻訳は、おそらく誰もが難しいと感じるのではないでしょうか。実際自分も読んでピンときたという覚えがあまりないです。そんな中、本書はロシアの定型韻律詩(別段、短い形式の詩は日本の専売特許でもないのです)を日本の短歌に置き換えるという、かなり思いきったことをやっています。日本人に馴染み深い形式を使ったことで浮き彫りになった、感性の違いや詩情を伝えることに成功していると思います。 「わがまくら二つめの燭燃えつきて鴉の声の聞こえくるなり」2021/06/09
-
- 電子書籍
- 魔法使いで引きこもり? 01~モフモフ…