内容説明
厳寒のロシア大地。目眩めく雪原に滑降する橇―。恐怖、興奮、忘我。「わたしはあなたを愛してますナージャ!」大自然の声か。愛の言葉、去来するアポカリプス。これは戯れを超えた乙女の至福の物語。
著者等紹介
チェーホフ,アントン・P.[チェーホフ,アントンP.]
1860‐1904。庶民の子として生まれ、中学の頃から苦学を重ねた。モスクワ大学医学部在学中も家計を助けるため、ユーモラスな短篇を多数の雑誌に発表。社会的関心も高く、結核を養いつつ社会活動や多彩な創作を展開した
リブハーベル,ユーリー[リブハーベル,ユーリー][Либхабер,Юрий]
1936年1月7日、モスクワ生まれ。1960年にクリコフ名称大学付属の美術学校を卒業。記念碑制作の美術家として出発。1970年に全ソ美術家同盟のメンバーになる
児島宏子[コジマヒロコ]
映画、音楽分野の通訳、翻訳、執筆に広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マリリン
44
「たわむれ」は過去の想いへの回想。過ぎた日の情景が脳裏をよぎる。形は違っても言葉に出せない感情が脳裏で交錯する。過ぎ去りし日の耽美な恋を語る眼差しが静かで優しく温かい。「大学生」はユーリ―・リブハーベルのモノトーンの絵がとてもよい。表紙の絵も。心情描写も好み。チェーホフが紡ぐ世界は忘れかけた思い出を耽美に蘇らせてくれる。2021/07/16
にゃおんある
31
要らないものは捨てなければいけない。そもそも、片付けはスマホの余分なアプリの削除からやらなくてはいけない。オットその前に、今読んでいる本や、積読本の更新もやらねばならぬ。年明けにスキーに行くから道具を出さなければいけない。チェーンが義務化されたから、チェーンを買わなくては。それを買ったら、装着する練習をしなければならないだろう。そもそもスキー場が全面滑走可になっていなければ、支度をする気がしない。仕事が片付いていないのに、初日そうそうに休暇申請すると考えることが恐ろしい。ああ、→2018/12/30
星落秋風五丈原
23
『たわむれ』 ある日そり遊びにでかけた若い男女。男性はそりに乗るたびに、女性に愛の告白をする。その告白を聞きたいがために、さして好きでもないそりに乗り続ける女性。一人で乗った時、当然ながら愛の告白は聞こえない。 結末に二バージョンある。一つは二人が結婚し、もう一つは逆の結果に。本編は後者。これ、男性からしたらたわむれだが、女性の心をもてあそんでいるようで、あまり気持ちはよくない。それとも、どきどきする気持ちを味わえたからいいとでも? 2025/05/01
あむちむ
7
短い2篇のお話を綺麗な絵と共に楽しめる本。 「ショスタコーヴィチの証言」にチェーホフが出て来たので気になり購入。 「たわむれ」は楽しめましたが、「大学生」は宗教感が強く、よく分かりませんでした。ロシアの悲惨さは伝わりました。情景描写を読む事が苦手なので、あまり好きにはなれませんでした。しかし引き続き気になる作家。次は「チェーホフ・ユモレスカ」を読もう。2024/12/03
relaxopenenjoy
5
「たわむれ」「大学生」の二編を収録。両方とも多分再読だけど、改めて良さを感じる。解説によればチェーホフは数ある自作品の中で「大学生」が一番好きだったという。「大学生」執筆時は、サハリン視察から戻った4年後、まだ「サハリン島」を執筆していた時と重なるという。チェーホフにはイエスやペトロの時代の2000年前も、100年先も、1000年先も見えていた。その優しげで温かくも鋭いまなざしで。挿絵はユーリー・リブハーベル氏。表紙のグラデーションが美しい。2021/06/30