内容説明
イギリス小説史上、最も生気に満ち、またイギリス・ユーモアの典型とされる作品が、ディケンズの記念碑的大著『ピクウィク・ペイパーズ』である。ピクウィク・クラブの会長、サミュエル・ピクウィク氏と会員、すなわち女好きのタップマン君、詩人肌のスノッドグラス君、野外スポーツならお手のものと宣うウィンクル君、この四人が珍しい体験を求めて旅に出る。尋常な旅ではない。笑いの底に驚きあり、驚きの果てに失望や哀しみあり、随所にほのぼのとした味わいが漂う。個性豊かで多彩な登場人物は、人間喜劇の一大パノラマをなす。ロンドンっ子、サム・ウェラー君がピクウィク氏の下男として、旅のお供をしてからの展開は、息をつかせない。この厖大な作品の超絶技巧的凝縮訳が、本書『英国紳士サミュエル・ピクウィク氏の冒険』800枚である。ディケンズの精髄を、そしてヴィクトリア期英文学の大作をお楽しみいただきたい。
著者等紹介
ディケンズ,チャールズ[ディケンズ,チャールズ][Dickens,Charles]
1812年、イングランド南部ポーツマス近郊に生れる。父親ジョンは海軍経理部の書記をつとめたが、ロンドン、チャタム、再びロンドンへと慌ただしく転勤した。チャールズ12歳のとき、父親ジョンが負債者監獄に投獄され、姉ファニーとチャールズを除いて、母も弟妹らも皆獄中に暮した。15歳で弁護士の事務員となり、その後、民法博士会館の記者、新聞の通信員、議会の速記記者と、ジャーナリズム界に頭角を現す。24歳にして処女出版『ボズ・スケッチ集』を上梓し、ふた月と経たぬうちに『ピクウィク・ペイパーズ』月刊分冊の発行を開始する。1870年、ギャズビルの自邸にて急死。58歳
梅宮創造[ウメミヤソウゾウ]
1950年、会津生れ。早稲田大学文学部教授、英文学専攻。著訳書として『子供たちのロンドン』(小沢書店、埼玉文芸準賞受賞)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
-
- 和書
- 夜明けのオーパス・ワン