内容説明
1889年の出会いから1899年の別離まで、10年間のプラトニックな愛憎劇。家庭人でもある女流作家が手紙と回想で綴る濃密な恋。44年の生涯で唯一真剣と言われるチェーホフ、もう一つの真実。
目次
出会い
家庭の幸福
再会
「僕がもし結婚したら」
ソリの上での問答
宿命のひと夜
時計の垂げ飾りへ
仮面舞踏会にて
『かもめ』の初演された日
心の暗闘
喀血
“もう一日だけ残って”
物語『恋愛について』
古文書あさり
客車内での別離
「人生は果たして、苦悩するに価するか?」
著者等紹介
アヴィーロワ,リディア・アレクセーエヴナ[アヴィーロワ,リディアアレクセーエヴナ][Авилова,Л.А.]
1864‐1943。ロシアの作家。1890年から当時の有力文芸誌などに短篇を発表。モスクワで生まれペテルブルクで暮らしモスクワで死去
ブブノワ,ワルワラ[ブブノワ,ワルワラ]
1886‐1983。画家・ロシア文学教師
小野俊一[オノシュンイチ]
1892‐1958。ロシア文学者・動物学者・社会運動家
小野有五[オノユウゴ]
1948年東京生れ。地理学者。地球環境科学者。『自然をみつける物語』(全四巻・岩波書店)で第四十四回産経児童出版文化賞。地形学的研究による北海道の自然保護運動で第一回沼田真賞。北海道大学大学院地球環境科学研究科教授
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
20
自分の芝居にそつなく誘い彼女に子供がいると知っても興味を失うではなく「それは素晴らしい!」と賞賛。リディアが文章を書いていると知ると彼女の作品をぜひ見ようと言う。そして2度目に会った時の決め台詞が「あなたにはまるでこんな気がしませんでしたか、3年前にお会いした時に?僕たちは決して単に識り合ったというのではなくて、何だかこう長いこと別れていたものがとうとう互いにまためぐり合ったというような…」あまりにもベタだ。読んでいるだけで恥ずかしい。だが当代人気作家に言われれば別。優れた評伝作家も恋愛は批評できない。2015/09/17