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内容説明
九歳で父母と別れた主人公ズラブは田舎のオルガおばあさんの許、イリコとイラリオンという、はちゃめちゃなおじたちと日々を過ごす。そして十七歳、首都トビリシで下宿先から大学に通う学生生活。卒業しておばあさんの家に戻ってみると…。「私は自由が欲しかった。そのために笑いを選んだんだ」と述懐する作者自身の体験に基づく、笑いに満ちたビルドゥングスロマン。一九五九年に発表されるやロシア語への翻訳、映画化と、ひとびとの圧倒的な支持を受け、特異なユーモア作家の地位を不動のものにした半自伝的作品。
著者等紹介
ドゥンバゼ,ノダル[ドゥンバゼ,ノダル][Dumbadze,Nodar]
1928‐84。20世紀後半のグルジアの代表的な作家の一人。首都トビリシ生まれ。トビリシ国立大学経済学部卒業(1950年)。1967‐72年雑誌『鰐』編集主幹。1972‐84年グルジア作家同盟書記長。1975年ショタ・ルスタヴェリ賞。1980年レーニン賞
児島康宏[コジマヤスヒロ]
1976年福井県生まれ。1998年東京大学文学部卒業。2000‐02年トビリシ国立大学に留学。現在、東京大学大学院博士課程に在学中。専門は言語学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shizuka
57
読友さんのオススメ。とても充実した読書の時間を味わえた。グルジアの男の子とおばあさんと叔父さん2人の物語。かわいい女の子も出てくる。犬も猫も豚も牛も出てくる。みんな、生きていることに感謝し、自分たちの「意味」を分かっている。なんでそんないたずらばかりするの。いたずらされる方も怒りながらもなぜ嬉しそうなの。笑うこと赦すことそれが神様から与えられたこと。悲しい人生より楽しい人生の方がずっといい。あとがき「辛い現実から飛翔するために笑うことを選んだ」そうか、逃避じゃなくて飛翔。この気持ちはなかった。見習おう。2017/05/30
かもめ通信
36
1940年代、グルジア西部のグリア地方の村からはじまる物語は、ところどころに戦争の影や、体制の締め付けが見えかくれはするが、物語のトーンはあくまでものどかで愉快でやさしく温かい。この本を読んで、物語に登場する人たちを、舞台となる田舎の村を、この物語そのものをどうして愛さずにいられようか。派手さはないがじわじわと心にしみてくるものがある。あまりに好きになりすぎて、誰にも紹介せずに秘密にしておきたいぐらい惚れ込んでしまった。2016/10/03
syaori
31
グルジアに住むズラブ少年の日常をユーモアいっぱいに描いた本。おばあさんと、イリコとイラリオンという二人のおじさんとの毎日は、初めて書いた熱烈なラブレターが先生からの手紙と間違えられておばあさんの手に渡り、おばあさんが「ズラブのことでよく学校に行ってたからその時に気に入られちゃったのかも」とか言ったり、イリコとイラリオンがしようもない悪戯を仕掛けあって、ズラブがその片棒を担いだりと終始ニヤニヤが止まりません。悪口を言っても悪ふざけがすぎても、それぞれ深く強く思い合っていることが分かる、本当に素敵な本でした。2016/05/28
みねたか@
25
グルジア(ジョージア)。寡聞にしてほとんど予備知識がない。しかし,そんなことは全く関係なく楽しめる作品。おばあさんと暮らす少年ズラブと叔父たちなど周囲の人々。決して豊かではないし,複雑な政治情勢の中で厳しいことも多いのだろうが,ユーモアと人間愛ですべてを包み込むような温かさ。心に残るエピソードの数々。書き留めたそれらを読み返すだけで,こちらの心がじんわりと温かくなってくる。ここに出てくる人々,そして自分の周りの人たちにも幸あれ。そんな気持ちにさせてくれる作品。2018/02/05
seacalf
21
すっごくキュート!まさかコルホーズという言葉に代表されるような、がちがちの社会主義国 、馴染みのない国グルジアの村でのお話が、こんなにも面白いとは。今の日本ではあり得ない、はちゃめちゃで牧歌的なやりとりが繰り広げられる世界に、笑顔がとまらない。幸せな気持ちが胸に溢れること、間違いなし。現実の痛みや悲しみを取り除き、独特のユーモアに包んで描き出したというこの作品、かなりおすすめですよ!2016/07/09