目次
ふらんすの椅子
雨戸・そのほか
眺めのいい食卓
本のこと
未発表原稿
るみちゃんへ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
26
大学の学科の同級生だった著者は涼しい目をした女の子だった。卒業後はそれきりになり、出版社に就職後編集者として活躍、その後渡仏してさらに自由に生きていたのを知ったのは、数年前に訃報を聞いたあとのことだった。さまざまの雑誌に発表したエッセイを去年一冊にまとめた本書を、彼女の命日、彼女の愛した薔薇の季節に手に取る。涼しい風の吹き渡るような風通しのいい文章の中にも、時々きらりとひかる一節にハッとする。死の一年前に書かれた小文には、病を得たことへの静かな諦観が胸に迫る。もうこの人の文章を読むことができないのは寂しい2026/05/16
ゆみのすけ
21
最近AIの進歩が目覚ましい。その進歩に恩恵を受けている面が多大にあるので、それを否定はしないが、効率を求める社会に少し怖さと虚無感を感じる。なぜ人は効率を追い求めるのか。効率を手にしたことで、失ったものは何なのか。本書には効率とは違う、「人のぬくもり」「暮らしの手触り」が収録されていて、それがとても心地よかった。フランスで手に入れた椅子とそれを修理したこと。給食袋と母親との思い出。庭の手入れとヤモリとメジロの話。豊かな言葉で綴られた文章は作者の人となりが感じられ、温かい。すてきなエッセイに出会え嬉しい2026/01/25
めーじん
2
何度でも読みたくなるような気持ちのいい文章。ひとつのものを長く大切に使うって素敵だ。それがきっと生きていく力にもなるのだと思う。僕も長く大切にできる一脚の椅子を探したい。『クウネル』気になる。牧野伊三夫のあとがきも泣ける。軽やかで良質なエッセイ集だった。2025/11/17
ひるお
1
初期の『クウネル』の“心臓”と言われるライター・編集者、鈴木るみこ。フランス留学生活、庭の草木、友人からの贈り物、差し出されたおにぎり…。まさに「食う」「寝る」という言葉に象徴されるような生活の端々を、柔らかなきらめきある言葉で綴った遺作随筆集。日々を暮らすこと、日常の連なりを自分のこだわりで満たすこと。それは快いものとは限らず、痛みや苦しみに満ちたものでもありうる。そうした痛苦を見つめ重ねたからこそ、鈴木の捉える生活は慕わしいのだと思う。2026/02/21
Yunoco
0
気まぐれに入った鎌倉の小さな書店で、表紙と題名に惹かれてつい買ってしまった。1頁めくり2頁めくりしていくうちに、この本は通勤とか何かのついでに読むものではないかもしれない、と思って、追われるように過ぎていく時間に抗いたいときに読むようになった。それもそのはず、あとがきに『日々のささやかな暮らしやもののなかにある物語をみつめた』雑誌の編集者が作者だったこと、雑誌・暮らしの手帳に寄稿されていたことを知り、合点がいく。きっと、わたしはこれから何度も読み返すだろう。色んなものに流されていかないために。2026/10/12




