目次
1(鳥の影;天空;刃と葉脈 ほか)
2(鳥の宴;鉄扉;問ひ ほか)
3(みぞれ;小窓;藤と眠り ほか)
著者等紹介
小原奈実[オバラナミ]
1991年東京生まれ。第五十六回角川短歌賞次席。東京大学本郷短歌会(現在は解散)、同人誌「穀物」などに参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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松本直哉
21
若い歌人を集めた詞華集で唯一、古風で優雅な言葉遣いで歌う人として記憶していた著者の待望の第一歌集。「ほんたうにこの世は五月さへづりのそれぞれに聴く梢のたかさ」鳥たちの複数の声が異なる高さから聞こえて、それがおのずから木々の高さを知らせる。「揚雲雀喉ひらくとき体内にひとすぢ初夏の陽は至りゐむ」は逆説的に鳥の体内の昏さに思い至らせる。「みづからの顔をおほかた裂きながら青鷺は大き魚のみくだす」も鳥の嘴の異様さを一筆書きにする。医業に携わり人や動物の生死に向き合う日々ゆえになおさら、生物、特に鳥への視線が柔らかい2026/04/19
あや
20
小原奈美さんの第一歌集。小原さんは1991年東京生まれ。第56回角川短歌賞次席。2025年刊。私が所持しているのは2刷。08年に初めて筆名をつけ08年から21年までの作を収録。おそらく膨大な作品の中からふるいにかけられた作品を収録されているのであろう。鳥をモチーフにした作品が多く文語旧かなの静かな詠みぶりに心惹かれる歌集。私の敬愛さる歌人川野里子さんが2025年に刊行された歌集の中で収穫と呼んでおられた記憶がありずっと読みたいと思っていた歌集であった。今旧かなで読まれる方は貴重。現に私も口語新かな派である2026/04/23
ゆう
12
素通りしていた鳥や風などの自然の美しさを丁寧に拾ったり、生死を、生を奪う己の手を真摯に見つめていたりと、誠実な人柄があらわれたような歌が多かった。偏見だが、よく晴れた地域で詠まれたのだろうというような天気のよさ、爽やかさだった。雨の歌は2首だけだった気がする。 一番誠実さがあらわれていたのは「手には手にて応(いら)ふほかなし水辺(すいへん)のその水ほどに在りたかりしを」(鉄扉91頁)水辺の水が川岸から水中にさしこまれた草に応えていくように、相手に自分の手だけでなく存在全体で応えたいのにできないもどかしさ。2025/05/10
双海(ふたみ)
9
著者は1991年生まれ。本郷短歌会に在籍しており、第56回角川短歌賞で次席となっている。本書は2008年の10代、20代、2021年まで製作した304首を収録。文語短歌のよさを改めて実感した。「読み終へし手紙ふたたび畳む夜ひとの折りたる折り目のままに」2025/06/22
門哉 彗遙
9
読み終えれば付箋だらけの歌集になってしまった。 一番かっこいいと思った歌は 「請ふならば灯を、 黙しあふための夜を ふるき鉄扉のやうなひとりに」だ。この「ひとり」は誰なんだろう。ご自分のことだろうか。凛としている。 そして 「枝しなふ柘榴へと手を伸ぶるときわが手は加速してわれを牽く」 「身の芯を引き抜くごとき飛びやうの抜ききつて死ぬ蜻蛉のあらむ」 この2首は、サイボーグ009のジョーが奥歯の加速スイッチを入れてしか見えない景色ではないか(知らんけど)。2025/05/19




