内容説明
生命のありよう、そして宇宙のありようの根源に目を凝らすことから語り起こされる児童文化。部分と全体、回転、変身など「わ」の特性に着目しながら、古今東西の物語や遊びに「わ」を見出す。そして、ときに解かれ、繰り返し結び直されるさまざまな「わ」に支えられる人間の営みへと思いを馳せる。大きな射程から児童文化の未来を問い直し、感動を呼んだ最終講義の全文を採録。また、長年の研究を経て、古典児童文学作品から学校現場やウクライナ戦争までを網羅的に語る「全方位に向かう児童文化へ」を併録する。いじめ問題、文学、思想など幅広い分野の著作をもつ児童文化研究者の慧眼が光る一冊。
目次
第1部 生命の「わ」児童文化 最終講義(「地球の環」と「生命のわ」;「変身」する物語へ;生命の「わ」を模したいくつかの遊びへ)
第2部 全方位に向かう児童文化へ(「季節」とは何か;春が来た―「存在給付」について;シンデレラの「一二時」―シンデレラとラプンツェル;『クマのプーさん』もう一つの読み方;ラチョフ絵『てぶくろ』の世界から―ウクライナ民話の深層へ;手塚治虫とゲーテの『ファウスト』―「メタモルフォーゼ」をめぐって;まど・みちおの「リンゴ」の詩異論―日本と台湾の間で;「ずいずいずっころばし」考―「おとな唄」を感じてはいかんのですか;教室に「広場」を―「いじめ対策」の具体的な提案「二分の一成人式」パスポー卜について;ウクライナと『風の谷のナウシカ』)
著者等紹介
村瀬学[ムラセマナブ]
1949年京都府生まれ。同志社大学文学部卒。大阪府交野市立心身障害児通園施設(あすなろ園)、同市立機能支援センター(子どもゆうゆう)に勤務。その後、国際日本文化センター研究員、同志社女子大学助教授を経て、同大学教授。児童文化論。2010年『長新太の絵本の不思議な世界―哲学する絵本』(晃洋書房)により第34回日本児童文学学会奨励賞を受賞。現在、同志社女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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