目次
片側の
あをき石
その他は
かうかうと
ひかる絃
フリスク
著者等紹介
宮本佳世乃[ミヤモトカヨノ]
1974年東京生まれ。「炎環」同人、「豆の木」参加。2010年合同句集『きざし』刊行。2012年句集『鳥飛ぶ仕組み』刊行。2015年「オルガン」創刊より参加。2017年現代俳句新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pirokichi
5
宮本佳世乃さん(1974年生)の2013年から2019年までの俳句をまとめた第二句集。宮本さんの句はつるんとしてひんやりしている。心をざわつかせずさみしくしてくれる。だから落ち着く。〈秋の川扉ちらちら開きをり〉〈冬木の芽壁をさはつて人とゐる〉〈誰よりも大きな石の冷たかり〉〈蜜柑山はやく帰つてはやく死ぬ〉〈みんなさみしい明けましておめでたう〉〈一滴となり夕焼が口のなか〉〈その他はブルーシートで覆はるる〉〈盆踊帰る手足のありにけり〉〈水澄んであとはバドミントンでいい〉〈二階建てバスの二階にゐるおはやう〉2020/12/03
Cell 44
3
「かなかなに血の集まつてゐるばかり」「眼はひばり教はり雲雀好きになる」「ニュータウンの短き坂よ木の実降る」「かなかなの翅の切符をなくしたる」「手を当てるとき数学はからすうり」「日脚伸ぶいまらふそくのらのあたり」「日曜の午後のアメリカハナミズキ」「うすばかげろふおとうとの肺に棲む」「二階建てバスの二階にゐるおはやう」宮本佳世乃の俳句の感想を言うのは個人的に難しいのだが、「て」「ゐ」「ゐたる」「にけり」などに時間へ栞を挿しこむような余裕の表情があるのと、てのひらほどの、だが野のように広がった視界が好きだ。2020/10/13
あなた
2
「泣いてゐるひとの隣へ豆の花/宮本佳世乃」『三○一号室』。佳世乃俳句を読んでると、あ、私ここにいたんだ、きみはここにいたいんだ、と気づくことも俳句なんだよなと教えてもらえる。「二階建てバスの二階にゐるおはやう」。見る、だけでなく、いる、ことも俳句へのコンタクト。とてもゐたこと。2021/11/12
豆ぐみ
2
2019年、港の人刊。著者の第2句集。好きな句は〈桟橋に夜の来てゐる鬼胡桃/手のひらにざらりとすくふ薄の穂/秋の川扉ちらちら開きをり/冬眠の患者に盗まるる両眼/お降りの糸散らばつてゐる東京/さつきから三羽さんかく鳥の恋/いちめん青麦ひとりひとり浮く/国道6号北上一切合切霧/花束を持つて霞のなかにゐる/うすばかげろふおとうとの肺に棲む〉などなど。2020/06/04
たつのすけ
1
○2021/03/17