内容説明
千にものぼる民族の多様な文化をもつインドネシア。スハルト政権崩壊後、解き放たれ、新たに生成し変化する民族意識を、9人の研究者たちが探る。建国以来初めて民族別人口を明らかにした2000年のセンサスをもとに、赤道にまたがる無数の島々からなる広い国土の各地域に密着し、各民族の多彩な営みをとらえた論考は、幾多の困難を乗り越え政治の安定を得て経済成長を促し、いまや上昇局面に立つ国の、活力の源を知る確かな礎となる。
目次
序 インドネシアの国民意識と民族意識
1 アイデンティティの拠り所―受け継がれるスンダ語教科書からの考察
2 都市の家族、村の家族―バリ人の儀礼的つながりの行方
3 バティックに染め上げられる「華人性」―ポスト・スハルト期の華人と文化表象をめぐって
4 受け継がれた罪と責務―西ティモールにおけるキリスト教と祖先崇拝
5 コラージュとしての地域文化―ランプン州に見る民族から地域への意識変化
6 慣習継承の政治学―スマトラ二州に見る公的継承プロジェクトの限界
7 異種混淆性のジェネオロジー―スラウェシ周辺海域におけるサマ人の生成過程とその文脈
8 首都に暮らすバリ人ヒンドゥー教徒
9 ジョジョバ(幸せな独り者)―都市部におけるキャリア女性の食行動とジェンダー規範の変容
著者等紹介
鏡味治也[カガミハルヤ]
1954年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退、博士(学術)。金沢大学人間科学系・教授、文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- トーアシュトラーセ12景