内容説明
太平洋戦争末期、悲しいどうしようもない運命を突きつけられた特攻隊員。台湾の地で、出撃直前の彼らの最期の日々を息づかいまでも感じ、声を交して、見つめ続けた少女…やがて少女は大人になり結婚、相手は当時の隊員の生き残りであった。―TV番組多数出演の「逆さ歌」の達人おばあちゃんが今、70年の時を経て語る、台湾から始まる人生、戦争の哀しさ、愚かしさ。
目次
台湾の夕焼け
激動の時代に
勝利の日まで
神風特攻隊
待機と訓練の日々
出会い
束の間の青春
台湾をあとに
おとなの階段
痛恨の帰郷
別れ
命運を分けたもの
四十六年間の預かりもの
花蓮の海に
著者等紹介
中田芳子[ナカダヨシコ]
1931年台湾台北市生まれ、戦後15歳で帰国。音楽講師。ヤマハ・jet(全日本エレクトーン指導者協会)会員。趣味の回文作りが昂じて、全国の市をモチーフにした『日本全国ご当地回文』(太田出版)を2008年に出版。さらに特技の逆回転コトバから「逆さ歌」を考案し、NHKはじめ各局テレビ・ラジオに出演し活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
0717
13
昔、TVで逆さまに歌を歌うおばあさんを見たことあったけど、本書の著者なんですね。台湾に生まれ14歳の夏に出撃を前にした特攻隊員と、束の間を過ごした回想の記録。特に高田伍長との出会いと永遠の別れが哀しい。2016/06/12
まろまろ
0
戦中に生きた一人の少女が味わった苦悩。特攻隊員に寄り添いながら、無邪気にふるまうことで彼らを励ましながら、最期の叫びを体中で受け止める。それは65年たった今でもリアルに蘇るのだった。戦争の傷跡は、心の奥底に重く沈み決して消えることはない。一人でも多くの人に読んでほしい貴重な体験談だと思う。2013/07/31