内容説明
雑木林に通う少女、ガソリンスタンドで働く少年、退職の日のサラリーマン、芋ようかんをつくるおばあさん…人びとに届けられた「人生の贈りもの」。心にしみる珠玉の20篇。
著者等紹介
内海隆一郎[ウツミリュウイチロウ]
1937年生まれ。岩手県出身。立教大学卒業後、出版社勤務。69年「雪洞にて」で文學界新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばりぼー
54
「満ちあふれる幸せでなくてもいい、失意の中で見つけたのなら、たとえわずかでも大きな幸せとなるにちがいない。」300編を超える「人々シリーズ」から厳選した珠玉の20編を収録。1作10ページ程度の掌編ですが、どれも鼻の奥がツンとなる素敵な話ばかり。これ以上紙幅を費やして書き込むと、かえって情趣を削ぐことになるかもしれず、これはこれでいい塩梅かも。私は「瀬の音」や「欅の木」のような筋の通った頑固爺に憧れます(笑)。小学生の兄弟が昔飼っていた犬を探しに行く「林を抜けて」のどんでん返しには意表を突かれました(笑)。2015/11/07
あきあかね
16
表題にもなっている「30%の幸せ」。満ちあふれる幸せでなくとも、失意の中で見つけたのなら、ささやかな幸せも光彩を放つ。 市井の人びとの哀歓を描いた内海隆一郎の短編「人びとシリーズ」の三百篇から二十篇を選んだ本書でもそれは貫かれている。『月の匂い』のように、問題が完全に解決するわけではないけれど、たしかに背中を押されている登場人物の軽やかな心の変化を感じられる。禍福が交錯する人生において、人生の3割の幸せを感じられるか、それとも7割の不幸せを気に掛けるか、それは生きていく上で大事な分岐点のように思える。⇒2023/09/11
勝部守
7
身の丈の幸せを感じられるか?全て読後感の良い短編集。2016/02/05
あいくん
7
☆☆☆☆少し前の時代のあたたかいお話が20編収められています。内海隆一郎さんの作品は高校国語教科書によく使われています。「相棒」に出てくるフロントガラスを拭く、灰皿の掃除をするというガソリンスタンドの風景はセルフ化が進んであまりみられなくなりました。「相棒」という言葉が最後の方に登場するのが意味深です。五十代半ばの紳士が二十歳過ぎくらいの若者に頭を下げるというところがありますが、この立場ならそうすべきです。再就職で、偉ぶっていたらだめです。仕事に対する誠実さとか仕事がある喜びについて考えさせてくれます。2014/10/12
ちびっこ
7
30%どころじゃない、すごく幸せな話だった。どの話も未来を感じさせるし、その未来はきっと幸せなんだろうなと思う。「パズルのかけら」が好き。嫁ぐ娘って反則技だと思う。2012/08/15