アット・ザ・ヘルム―自分のラボをもつ日のために

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  • サイズ B5判/ページ数 427p/高さ 24cm
  • 商品コード 9784895923576
  • NDC分類 460.7
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 バイオ研究の道に進む人に恰好のナビであり、サバイバル・ガイドとして好評の「アット・ザ・ベンチ」の著者が書き下ろした、研究室を主宰し運営するラボヘッドのための指南書。リーダーとしてのあり方、心がまえ、ラボの立ち上げ、運営のノウハウ、若手をどう指導するか等々、的確で気の利いたアドヴァイスを提供する。    

《目次》
1章 めざすものは何か
みんなの憧れる研究室
  よい研究室となる条件/好結果を生む研究室をつくる
最初が肝心
  組織の中で,組織とともに仕事をする/企業と大学……それほど単純な問題ではない
  /組織についてもう少し/よいスタートをきるために
望みどおりの研究室にするための計画
  目標到達には何が必要か,その前に“目標”とは何なのか/研究室の行動目標を表明する
  /5年計画/先手必勝
出典
2章 リーダーになる
あらゆる訓練を受けてきたが,研究室の切り盛りだけは教わらなかった
  研究室の切り盛りに必要な資質/どんな種類のPIになるか
  /自分のスタイルを書き出してみる―自分自身の検証/性格の長所をフルに利用する
  /どんなリーダーシップを発揮するか
やる気をなくさないために
  時間は資源であり,敵ではない/優先順位を決める/自分のリズムを見つける
  /ぐずぐずするのをやめるには/完全主義者になる
時間の使い方
  時間をもっとうまく使う/1日のスタートはその日の仕事リストから/連絡の合理化
  /あなたの部屋をもつ
秘書や事務補助員とともに
  もしとても運がよければ……/秘書がやってくれること/秘書とする仕事を効率よく
  /フルタイムの秘書がいない場合/秘書を研究室の一員にする/自分が秘書になる
周囲と仲良く
  孤立を避ける/“よき師 ”の重要性/よき師を見つける/“師弟関係”
出典
3章 仲間を選ぶ
仲間を選ぶ
  新人PIの間違い―雇えるから雇う/自分にとっての必要と,研究室にとっての必要
  /必要な人はどこで見つけるか/大学と企業の違い
採用の手続き
  人事課とうまくやる/自分なりの採用手順/履歴書と応募書類の検討
  /推薦状に隠された意味を汲みとる/保証人と推薦状の筆者に確認する
うまく面接する
  うまい面接とは何か?/面接を組み立てる/面接をする/応募者が妊娠中
  /研究室のピーアール/研究室について伝えておくべきこと
候補者を評価する
  研究室の文化を担える人物とは/先入観を捨てる/ビザの種類が問題になるとき
  /選択の余地がほとんどないとき/採否の返事
出典
4章 新しい仲間と仕事にかかる
出だしが肝心
  初日/実務的なこと/訓練期間のパートナーづくり/ほかにだれもいない
研究室のメンバーの訓練
  経験者を改めて訓練するのはなぜか?/何を教えるべきか?/学習スタイル
  /実験を通して訓練する
よき師になる
  指導を引き受ける/よき指導者としての資質/だれを指導するか?/指導者として
  /研究者志望でない人の指導/人のつながりを構築する
出典
5章 基礎をつくる
針路を決める
  核となるテーマを決める/プロジェクトの選択/個性と計画を一致させる
  /チームワークと独立性のバランスをとる/PIの責任/共同研究
続けていくには
  仕事を把握しているのはだれか―PIかほかのだれかか?/専門分野で遅れをとらない
  /情報をどこで手に入れ,どう処理するか?
  /研究がうまくいっている人といっていない人,どちらに時間を割きますか?/やる気/“燃え尽き”を防ぐ
論文を書く
  論文を書く時期/だれが論文を書くか/原稿の構成を教える/論文の著者の問題
  /論文に関する倫理的な問題点
出典
6章 研究を支える態勢を整える
研究室の“文化”を育てる
  PIの行動目標に従う/期待と結果/研究室における倫理/仕事の倫理を確立する
  /研究費は慎重に扱う/全員に役割を
研究室の方針
  安全性/勤務時間と休暇/実験ノートについて/研究室の仕事/自前のラボマニュアル
  /規則は少ないほどいい
研究室のミーティングとセミナー
  ミーティングやセミナーは必要か?/ミーティングの進め方/研究経過を報告するミーティング
  /論文抄読会/ほかの種類のミーティング/1対1のミーティング/ドアを開放しておくという理想
コンピューターで研究室の整理
  整理できるもの/コンピューターのプログラムを選ぶ/研究用資材の整理/コミュニケーション育成
  /研究に必要なもろもろの作業をこなす/コンピューターの世話/保守と修理
出典
7章 コミュニケーションは接着剤
研究室でのコミュニケーション
  理解してもらうために理解する/聞くことを学ぶ/効果的な話し方/言葉を使わない伝達
  /良好な関係を築くには/話そうとしない人に対して/仕事と感情
多様性がもたらす喜びと危険性
  文化の違いを認識する/PIと研究室のメンバーとの間で/親切心と公平のバランス
性の問題はまだ大きい
  性(ジェンダー)とコミュニケーション/発言の含みと解釈について
  /性による話し方の違いが研究室に与える影響
対立を通して学ぶ
  交渉/対応の陰に潜む感情について/対決や対立の解消/意見の撤回
研究室のメンバーのストレスと落ちこみ
  ストレスの受容限度/ストレスに対応する/うつ病などの病気について
  /精神障害のある研究室のメンバーを保護し,ともに働く/自殺
出典
8章 人々を率いて
研究意欲
  研究室の士気に影響を与えるもの/研究室の親睦と雰囲気の改善/研究室がダメになる時期
“ラボ・ロマンス”
  研究室のメンバーどうしのロマンス/PIと研究室のメンバーとのロマンス/セクシャルハラスメント
研究室の人間関係
  研究室のしくみの中で働く/干渉すべきとき,介入すべきとき/研究室でよくあるトラブル
  /お気に入りの存在/研究室のだれかが嫌いなとき/研究室のだれかが,みなに嫌われているとき
“さっさとやっておけばよかった!”
  うまく辞めてもらう/否定的な内容の推薦状を書くこと/解雇について/解雇のしかた
仕事場での暴力
  暴力は予見できるか?/採用過程における暴力性の排除/潜在的暴力を見分ける
  /感情爆発の危機を回避する/暴力は防げるか? 
出典
9章 長い間に
役割の変化
  研究室の発展/大きな研究室と小さな研究室/実験に費やす時間/運営のしかたの変化と発展
  /研究室のマネージャーとともに/メンバーが研究室を去る/自立へと育てる
  /プロジェクトが研究室から出ていくこと/離れていった研究室のメンバーと連絡を取り続ける
熱意の持続
  成功だけでは十分とはいえない/失望をチャンスに変える/やる気の再燃/サバティカル(有給休職)
  /ストレスと緊張/燃え尽き
キャリアの選択
  転職について/研究室の移籍/仕事を変える
すべてを抱えて
  研究室の外にある暮らしと家族/正しい子育ての時期/1日を組み立て直す/罪の意識を排除する
  /時間が足りないときに責められるのは……/家庭を研究室になじませる/研究の輪を広げる
出典
索引

内容説明

本書では、大学院およびポストドクターが“修業時代”を終えて、いよいよ一人立ちして自分自身の研究室をもつ場合に当面する問題が扱われている。この世界で成功するために必要な心構え、自分が何をしようとするのかという、いわば研究についての哲学に始まって、どのようにして人間関係をつくるかなどについて、平易に例をあげて記述している。それぞれの問題に関連して偉大な先輩の言葉が添えられているのも楽しい読み物になっている。

目次

1 めざすものは何か
2 リーダーになる
3 仲間を選ぶ
4 新しい仲間と仕事にかかる
5 基礎をつくる
6 研究を支える態勢を整える
7 コミュニケーションは接着剤
8 人々を率いて
9 長い間に

著者等紹介

バーカー,キャシー[バーカー,キャシー][Barker,Kathy]
大学では生物学と英語学を専攻。マサチューセッツ大学で微生物学を研究し、修士号(M.A.)と博士号(Ph.D.)を取得。その後、ロックフェラー大学の癌ウイルス研究室でポスドクを行い、同大学の細胞生理学・免疫学研究室の助教授を勤めた。現在シアトル在住

浜口道成[ハマグチミチナリ]
1975年、名古屋大学医学部卒業。名古屋大学大学院医学科修了後、癌研究施設助手、病態制御研究施設助教授。1985~88年ロックフェラー大学研究員。2003年より名古屋大学医学部教授。医学博士。癌遺伝子とりわけチロシンキナーゼ型癌遺伝子による細胞癌化、浸潤転移活性化機構を中心に癌研究を専門とする
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