内容説明
北守将軍ソンバーユーは、いま塞外の砂漠からやっとのことで戻ってきた。ところが、三十年のひるも夜も、馬から下りるひまがなく、とうとうからだが鞍につき、そのまた鞍が馬について、馬とひとつになってしまった。おまけに、その顔や手に、灰いろをしたふしぎなものが、まるでいちめん生えていた。頼るは、リンパー・リンプー・リンポー先生―三人兄弟の医者だけだ！
著者等紹介
スズキコージ［スズキコージ］
１９４８年、静岡県浜松市生まれ。高校卒業後、東京での生活が始まる。東京藝術大学、武蔵野美術大学、セツ・モードセミナーや東洋大学などにモグリの学生として出入りしながら、美術だけでなく哲学などにも触れ、当時の時代の風をあびていく。赤坂の天ぷら屋で住み込みのバイトをしながら絵を描いていた時に、アートディレクターの堀内誠一氏に見いだされ、「平凡パンチ」誌上などでの活躍が始まる。１９７１年に、『ゆきむすめ』（文・岸田衿子／世界文化社 その後ビリケン出版で復刊）で絵本画家としてデビュー。主な創作絵本に、第３６回小学館絵画賞を受賞した『エンソくん きしゃにのる』（福音館書店）などがある。物語の挿画や作家との共作の絵本も数多く、『ドームがたり』（作・アーサー・ビナード／玉川大学出版部）で、第２３回日本絵本賞受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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☆よいこ
78
絵本。宮沢賢治童話。30年間北の地で戦ってきた将軍が帰還した。30年間馬から降りることなく戦ってきたので、将軍は馬から降りられない体になっていた。評判の三人兄弟の医者、リンパー・リンプー・リンポーで先生の所に行き、治療をしてもらう。▽「馬から降りられなくなった将軍」も奇妙だが、その治療方法も奇天烈。めでたしめでたし。▽スズキコージさんの絵がぴったり。絵本だが72ページ6章まであるので読みでがある。読み聞かせするには息継ぎが必要。面白かった。2021/11/17
yomineko＠ヴィタリにゃん
54
ずっと騎乗していたため、脚が硬直し、馬に貼り付いてしまって降りられなくなった将軍を助ける３人の医者。名前は、リンパー、リンプー、リンポー。スズキコージさんの絵がとてもよく合っていた😊2024/06/18
ちえ
38
30年間砂漠で戦っていた北守将軍が９万の軍勢を連れて凱旋。しかし体が馬と一体化して下りることもできなくなっていた。スズキコージの絵が迫力満点。軍勢のこと描き方が凄いなー。将軍が村に帰ってからの生活が穏やか。2023/05/30
ヒラP＠ehon.gohon
31
初めて知る宮沢賢治の物語です。 古い言葉、言い回しが多くて、文章だけならば、集中して読むことはなかったように思うのですが、スズキコージさんの絵の迫力に力を借りて、素晴らしい世界ができていました。 ３人の名医のおかげで、３０年間馬に乗り続けて固まってしまった、身の心も解放されたようです。 ９万人もの軍勢の描き方が見事でした。2021/12/05
クラムボン
23
10万の軍勢を率いた北守将軍が、塞外の砂漠の地で30年の戦いを終えて凱旋した。しかし長年馬から下りなかった為に、体が鞍に付き、その鞍も馬に付いてしまった。そして顔や手には灰色の植物が一面に生えてしまった。いかにも風変わりな状況では在るのだが、ストーリーの面白さで読ませると言うより、むしろ調子の良い語り口調の方に魅力を感じた。そしてタイトルの三人兄弟の医者だが、兄が人の医者、次が馬の医者、末が草木の医者なのは…なるほど！ちゃんと符合しているのだが、その辺りが面白いかと言うと、果たして如何だろうか？2023/03/18
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