内容説明
「ああつまらないつまらない。いちど女王にしてくれたら、あたし、死んでもいいんだけど」―美しさにあこがれるひなげしたちのおろかな願いにつけこむ悪魔とひなげしたちをまもろうとする若いひのき。
著者等紹介
出久根育[デクネイク]
1969年東京都生まれ。武蔵野美術大学造形学部卒業。ボローニャ国際絵本原画展入選、ブラティスラヴァ世界絵本原画展グランプリ、日本絵本賞大賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞などを受賞。2002年よりチェコ共和国のプラハに在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
78
出久根育さんの絵がとても魅力的です。ちょっと不気味だけれど引き込まれてしまう。天に星 地に花……。自分たちの美しさ、存在の貴さに気付きなさい、ということかな。ただ宮沢賢治の文章は哲学的で難しい。子供が読んでも伝わらないかも…。2019/07/13
モリー
74
ばあか、ばあかと、言われっぱなしの檜(ひのき)は何を言っても最後の最後まで、「ばあか」と言われ続けます。たとえ、スターになりたい気持ちに付け込まれ、悪魔に騙されかけているひなげしたちを罠から救っても…。「みんなにでくのぼうとよばれ、褒められもせず、苦にもされず そういものに 私はなりたい」と書き残した宮沢賢治ですが、檜には彼自身が投影されているようです。いや、檜は賢治の代弁者に違いありません。どんな命も定まった場所で輝く星(スター)であり、その場所でめいめいが、それぞれの光り方で輝けばいいじゃない!ダメ?2021/08/17
♪みどりpiyopiyo♪
57
「スターというのはな、本当は天井のお星さまのことなんだ。聴けよ。…」■お花畑で可愛らしいお嬢さんたちに出会った様な絵本を読みました。宮沢賢治の童話です。絵は出久根 育さん。花々の擬人化の加減も物語の言葉の解釈も、今回読み比べた3冊の中で 一番しっくり来ました。風と野山と光と影と 可憐な花々 小さな生き物。■美しさに憧れるひなげしたちの切実なる願いにつけこむ悪魔と、ひなげしたちを守ろうとする若いひのき。搾取されそうになってる人を引き戻そうとすると、たいてい嫌われるよね(´・_・`) (絵 2015年)(→続2019/04/18
小夜風
29
【図書館】出久根育さんの描く宮沢賢治。ひなげしたちが手鏡を持っているのが可愛らしい。合唱手(コーラス)はつまらない、女王(スター)になりたいと願うひなげしたちに、悪魔がつけ入ろうとするのを、ひのきが守るお話。ひのきの言葉がとても心に染み入って、ここの頁はきっとずっと忘れずにおこうって思いました。でもどんなに素晴らしい言葉も通じない、理解出来ない可哀想なひともいるのですね……。2015/11/09
花林糖
24
スターになりたいひなげし娘達。悪魔の誘惑から娘達をひのきが守る。ひなげし達にひもきの言葉が心に届かなかったのが残念。出久根さんの不気味さのある絵が素晴らしい。2016/01/20