内容説明
「熊、おれはてまえを憎くて殺したのでねえんだぞ。てめえも熊に生まれたが因果ならおれもこんな商売が因果だ。やい。この次には熊なんぞに生まれなよ。」自然と人とがむきだしに生命をやりとりする場所で、やるせない淋しさのなか、神聖なるものが、静かによりそい、結びあう…。
著者等紹介
あべ弘士[アベヒロシ]
1948年北海道旭川市生まれ。1972年から25年間、旭川市旭山動物園飼育係として勤務後、現在は絵本を中心とした創作活動をしている。1981年に最初の絵本『旭山動物園日誌』(出版工房ミル)を出版。1995年『あらしのよるに』(木村裕一/作、講談社)で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞受賞。1999年『ゴリラにっき』(小学館)で小学館児童出版文化賞受賞。2000年『ハリネズミのプルプルシリーズ』(文溪堂)で赤い鳥さし絵賞受賞など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
♪みどりpiyopiyo♪
47
宮沢賢治の知らないお話を読んでみよう週間♪ 「なめこ(きのこ)と山の熊」かと思ったら「なめとこ山」というお山のお話なのね🌰 ■山と水と 獣と人と。命の営みと 人の業。命と命が静かに向き合うお話でした。あべ弘士さんの絵は、野生の力強さと いまにも喋り出しそうな親しみやすさがあって、やるせない物語の世界に優しさをちょこっと増しているように感じました。(絵 2007年)(→続2020/11/21
gtn
31
小十郎と熊。こうとしか生きられないからこそ分かりあえる仲間意識と生命観。それが尊くもあるが、どんなに辛くとも何も変わらないという諦観もある。2021/07/31
活字の旅遊人
27
絵本としては、字が小さく漢字も多い。読み聞かせを想定しているのかな。ややべたっとした絵は、意外に子どもが好きなやつかな。自然や生命に対峙しつつ依存する人間。その人間社会における資本主義的な掟。そんなものも包み込み、静観する神仏。なんともまとめづらいが、こういう超越しつつも悲しみが残るのが、宮沢賢治だね。話の展開上、要らなさそうな熊の母子の会話が挿入されるところが、実は凄い。2021/02/05
おくらさん
24
あぁ読み終わったあと込み上げてくるものは何なのだろう。 熊狩りを生業とする小十郎と熊。 「熊、おれはてまえを憎くて殺したのでねえんだぞ。てめえも熊に生まれたが因果ならおれもこんな商売が因果だ、やい。この次には熊なんぞに生まれなよ。」 熊も小十郎もお互いに生きている。 悲しいわけでもない。 死んだ小十郎を囲む熊たちには 曇りない空気が流れたように感じた。 2018/05/12
テツ
22
宮沢賢治関係の絵本をコレクションしているので購入。生きるために熊を殺害しその生命を糧に自分と家族を養う小十郎。憎いわけではない熊を殺さなければ生きていけない小十郎の悲しみとそれを理解している熊たちとのやり取り。キリスト教とは違う原罪の形。生きることは罪と悲しみに塗れている。ラストで熊の手によって生命を終える小十郎の「これが死んだしるしだ。死ぬとき見る火だ。熊ども、ゆるせよ」という言葉。まるで微笑むように見える小十郎の遺体を祈るように取り囲む熊たちの群れ。ようやく小十郎は悲しみに満ちた生から解き放たれた。2016/11/25
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