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内容説明
『クラムボンはわらったよ』『クラムボンはかぷかぷわらったよ』二匹の蟹の子供がかわす会話の、その不思議な響き…。小さな谷川の底でくりひろげられる、生命の巡り。生と死はつながり、やがて豊かな実りがもたらされる。賢治童話を代表する、珠玉の短編。
著者等紹介
川上和生[カワカミカズオ]
1959年、北海道生まれ。北海道デザイナー学院卒業。デザイン会社勤務を経て独立。雑誌、本の装丁、広告などで活躍中。東京イラストレーターズ・ソサエティ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
98
「クラムボンはかぷかぷとわらったよ」この言葉が印象的。自然の理を瑞々しい感性で描いた珠玉の名作。二匹のカニの会話も微笑ましい。造語も現実にあるような錯覚を起こす。情景がフッと浮かぶオノマトペ。幻燈。水底を描いた川上和生さんの青を基調にした淡い色使いが幻想的で美しく、宮沢賢治の世界観を見事に表現されていた。2020/08/05
みう
46
川底から、蟹の目線で🦀🫧『雪渡り』同様、昼と夜の二章になっています。魚、鳥(カワセミ)、鉱物(水晶、金雲母、金剛石)、木の実(やまなし).... 自然界も厳しいのですが、人間がいっさい出てこないお話は 心が疲れた時にいいですね。蟹の兄弟のお父さんが温かい。/日光の黄金は夢のように水の中に降って来ました。波から来る〈光の網〉が、底の白い岩の上で美しくゆらゆら のびたりちぢんだりしました。花びらの影はしずかに砂をすべりました。/〈月光の虹〉2024/11/20
七月せら
36
「クラムボンはわらったよ」「クラムボンはかぷかぷわらったよ」のリズムが好きで、小さい頃よく口ずさんでいました。改めて読んでみると、なんて美しいのでしょう。谷川の流れは清々しく、光と水の戯れは留まるところを知らず、やまなしの甘い香がふわりと広がる。蟹の兄弟のやりとりがとても微笑ましく、父親の温かさも感じます。そしてお父さんはやっぱりお酒が好き、笑。水の中、蟹たちの世界の眺めがとても美しい絵で描かれているので、手元に置いておきたくなります。2017/01/29
ヒラP@ehon.gohon
32
このお話は、蟹の親子が川の中から見上げる世界で、自然界のいろいろなものを見聞きして育っていくお話です。 さりげないお話の中に宮沢賢治の宇宙観のようなものが備わっていて、描く人によって様々な世界を見せてくれるように思います。 そんな意味で、川上和生さんの絵は、「やまなし」に新しい世界を作ってくれたような映像感があります。 澄んでいて静かで、奥深いものがあります。 このような世界を見上げられる、蟹の兄弟は幸せだなぁと思いました。2022/12/28
ポプラ並木
27
今回は再読です。やまなし、1回目読む前は「山梨県」の話しだと勘違い(笑)さらに、1回目はクラムボンの正体って「太陽」だと思っていましたが、今回読んで、「光」と「神」と2つのイメージも持ちました。クラムボンの正体って何?感想会で楽しみです。兄弟2人の恐怖、カワセミが矢のように魚を捕らえ空中へ持ち去るシーンは恐怖を共感。さらに「山の梨」が川に落ちてきていい香り、このシーンも美味しそうな果物を共感。5月と12月で兄弟も成長し、恐怖から喜び、太陽から月、色んな変化を楽しむ1冊なんだろうね。では感想会で。⑤2024/05/11