内容説明
生物の中で最も進化した生体防御システムであるヒトの免疫系は、自己にとって異物である細菌やウイルスから私たちを守ってくれる。しかし、実はそれは諸刃の剣であり、過敏症、アレルギー、自己免疫疾患、臓器移植などにおいて、免疫系はヒト自らに反逆してくる。エイズやストレスなど現代医療の最前線も踏まえ、免疫の仕組み・その問題点をわかりやすく、系統的に解説。
目次
第1章 科学への序曲―天然痘と免疫学の起源
第2章 免疫応答の仕組み
第3章 風船の中の人生―原発性免疫不全症
第4章 過敏症とアレルギー
第5章 恐怖の自己中毒―自己破壊の免疫学
第6章 生体の防御壁が崩壊するとき―AIDS
第7章 臓器移植―技術と倫理の境界を探る
第8章 脳と免疫系との対話
付章 多様性、寛容、記憶―正義の味方の免疫系とは
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんかい32
1
人体の免疫機構についての解説書。丁寧でレベルも高い説明・読ませる語り口・自己免疫疾患、エイズ、臓器移植など多岐にのぼる話題と、入門書としては非常に望ましい内容。まあ免疫機構自体が複雑なので結構難しい部分もあったけど、そもそも「リンパ」がなんなのかすらよくわかってなかったぼくでも楽しく読める程度にはわかりやすく書かれているし、臓器移植の章では倫理学者や経済学者の考え方も紹介されるなど、目配りもいい。2011/01/22
すいか
0
とっても面白いしリンパ腺の働きや免疫の研究の歴史について知るにはとってもよい本だけど、残念ながら内容が古い。この分野の研究は日進月歩なのに既に出版から17年を経ているので無理もない。近所の図書館で除籍になった本をただでもらってきたのだけど、除籍になるわけだ、と読んでで思った。2012/01/03
戴天
0
免疫に関するエピソードから仕組みまでを、軽妙な語り口で解説してくれる。もともと生物の知識があったので「そういえばあったなあ」と思う場所もある反面、自己免疫の話に関しては大変引き込まれた。臓器移植については免疫のみでなく、社会的な背景も含めた解説に入ってくるなど、専門書というよりドキュメンタリーに近いと思う。2011/04/19
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- 和書
- ありがとさん〓