内容説明
長期間入院している患者は、病気に対するおびえや将来への不安で、心理的にとても不安定です。ところが看護婦は、ともすれば患者の複雑な心理を見抜けず、ワンパターンな「説明・説得・激励」だけの会話に片寄りがちなもの。不用意な言葉が、相手の心を傷つけてしまうことも少なくない。いったいどうすれば、看護婦は患者に心の行き届いた応対ができるか。本書は、長年カウンセリングに従事してきた著者が、看護婦を対象とした患者理解のための研修講座「看護とカウンセリング」の内容を集大成した一冊。88年に刊行され好評を博した初版の事例を半数以上新しくし、より現状に即した内容にリニューアルした。看護婦と患者が交わした実際の対話の事例「プロセスレコード」を題材に、詳しく心理分析をすることで、どうしたら患者の不安感を取り除き、温かい精神的援助ができるのかを読み解きます。
目次
第1部 臨床としてのカウンセリング(臨床の難しさ;人間理解に必要なこと―コミュニケーションとは何か;看護とカウンセリング)
第2部 事例学習「看護とカウンセリング」1(帰ったってどうしようもない―退院の判断基準は正当か;自力で熱と闘うしかないなあ―不明熱と闘う患者の心理;世間では嘘だって思われちゃう―言葉どおりに理解されないいらだち)
第3部 事例学習「看護とカウンセリング」2(私も馬鹿ね、変なことまで思ってしまうのね―患者の病識はどこにあるか;僕もしたい―患児の心の葛藤とは;人から励まされても大変難しい―患者の心を動かすには? ほか)
第4部 看護とカウンセリングの出会う場で(事例検討学習に参加して;カウンセリングを学びたい人のために)