内容説明
そのなつ、まちをしきるさくが、いつもよりおおきくみえた。そのなつ、さくのむこうがわにあるものは、なにもかもがとおくみえた。ふたりの少女のあいだには、高い柵があった。でも、ふたりはやがて…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
里季
64
図書館にて読了。柵の向こう側に住む白い人たち。白い女の子がいつも柵の所に来てこっちを見ている。お母さんには「近づいちゃだめよ。危ないんだから」と言われるけれど、そうかなあ。ある日、その子と友達になった。柵の向こう側には行っちゃダメって言われてるけど、柵に上っちゃいけないとは言われてないわ・・・その子と一緒に柵に上ってみた。・・・きれいな繊細な絵。柵はいつか無くなるのだろうか。2014/06/13
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
52
いつできたのか知らないけど、草原の真ん中に柵があった。こちら側には黒人が、向こう側には白人が住んでいた。向こう側にあるものは全てが遠く見えた。「どうしてかな」とママに聞くと、「いつだって、ずっとそうだったのよ」。夏のある日、『わたし』が遊んでいると、柵のところに『向こう側の女の子』がやってきて、こちらをじっとみた。こちら側には友達がいるけど、あの子はいつも一人だった。夏が半分過ぎた頃、二人は初めて言葉を交わした。どちら側でもない柵の上に座って。そして……。「どちらでもない場所」が心の中にもあればいいのに。2016/08/16
ネギっ子gen
45
大判絵本。素敵な画集を見たような感覚――。<その なつ、まちを しきる さくが、いつもより おおきく みえた。わたしたちは、さくの こっちがわに すんでいた。さくの むこうがわには、しろい ひとたちが すんでいた。「むこうがわに いっては だめよ。きけんですからね」 ママは、そう 言っていた。その なつ、おんなのこが ひとり、さくの ところに やってきた。そして、まいあさ さくに のぼって、こっちを じっと みていた>。二人の少女の間には、高い柵があった。やがて――。「心の柵」が撤去される未来を信じたい。2021/08/10
たまきら
43
アメリカン・リアリズムな素晴らしい挿絵で、アメリカの隔離政策・人種問題が垣間見えます。同時にそんなくだらないものを子供がいとも簡単に乗り越えることも。夢みたいだけれど、夢じゃない。みんなで乗り越えたい垣根だと思います。2022年に読みなおしながら、この本の中に流れる博愛の精神に浸りました。2022/11/24
みさどん
24
白人社会と黒人社会がなかなか相容れなかった時代がある。良心があっても接するなとしか言えなかった母親たち。その垣根をスイッと越えられるのが子どもたちなのだと。残酷なのも子どもたちかもしれないけれど、ここには爽やかな交流があってよかった。白人の子からの歩み寄りがホッとできるのかな。2016/10/08
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