内容説明
外は雪。郵便屋さんは、今日も通り過ぎてゆく。母の帰りを待つ少女の心のうちを描いた、心にしみる絵本。コルデコット賞銀賞受賞作。
著者等紹介
ウッドソン,ジャクリーン[ウッドソン,ジャクリーン][Woodson,Jacqueline]
1963年、アメリカ、オハイオ州に生まれる。児童文学作家。2001年、『ミラクルズボーイズ』(理論社)で、コレッタ・スコット・キング賞を受賞。現在、ブルックリン在住
ルイス,E.B.[ルイス,E.B.][Lewis,E.B.]
1956年、アメリカ、ペンシルヴァニア州に生まれる。深みと美しさを兼ねそなえた写実的な画風で、数々の賞を受賞しており、これまでに手がけた児童書は30を超える
さくまゆみこ[サクマユミコ]
東京都に生まれる。編集者、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kawai Hideki
42
戦時中のアメリカが舞台の、ある黒人一家の物語。シカゴで鉄道清掃員の職に就くことになったお母さん。小さな娘を祖母にあずけて出稼ぎに行く。家を出る前、娘のことを世界で一番愛していると言い残して。娘は手紙を送るけれども、なかなか返事は返ってこない。それでも娘は手紙を送り続ける。返事を待つ長い長い日々。祖母と娘、そして珍客の子猫が、貧しいながらも暖かく寄り添って暮らしていく姿が美しい。やがて、お母さんからの便りとお金が送られてくる。この家族に幸あれ。献辞をみると、作者の叔母がこの「娘」だったようだ。2021/11/21
メタボン
41
☆☆☆★ 長い間出稼ぎに行っているお母さんの帰りを待つ冬の空気感が良い。なぜ父が不在なのかは説明がなく(男たちが戦いに行っているので黒人の女も働き手として求められるという叙述はある)、父は戦争に行っているのか、それともシングルマザーなのか、読者の想像に委ねられる。これはこれで奥行きが深い。2016/06/26
クリママ
37
文、絵、登場人物ともアフリカ系アメリカ人。「シカゴでは、こくじんの女でもやとってくれるんですって。」と言って、家を出た母を待つ女の子。手紙を書いて、子猫を飼って、おばあちゃんとともに母親の帰りを待つ。水彩で描かれた絵は、なんて素晴らしい。女の子が家で着ているよそ行きのようなワンピース、そして、その仕草や表情が切ないけれど、たまらなく素敵だ。2025/07/01
たまきら
29
同僚の中国人が、次女を中国の両親に預けたままで働いており、オタマさんは「親と暮らせないこどもがいる」ことにびっくりしたり。「こくじん」、オタマさんの保育園にもハーフの子がいるので「ギャビンくんみたいな子たちでしょ?なんでいじめられるの?」…保育園の頃から人と違うことが当たり前、をわからせてくれる多様な環境でよかった。先生たちにもありがとう。しんみり。絵が素晴らしいです。2016/07/27
ゆうゆうpanda
29
南北戦争時代、汽車の清掃という仕事を求めてシカゴへ出稼ぎにいく黒人の女性。留守を守る少女と祖母の心細い生活を描いた物語。手紙も仕送りもなかなか届かない。捨て猫を拾って飼い始めるが、猫にやるミルクもままならない。優しい祖母なのだろうに子猫に情を移しては駄目だと諭す。母のいない冬は寂しくて長い。水彩画なのに明暗の表現に優れた絵が美しい。母の無事を祈って眺める窓、黒い肌を照らす光。身を寄せ合う温もりが一番の支え。それだけに、雪の中を帰って来た母の後ろ姿が眩しい。猫と共に出迎える場面を想像して胸が熱くなった。2016/02/19