内容説明
旅にしのぎをかける遍歴の芸人あれば身はうき川竹の遊女芸者あり。無頼の目明し、金貸し座頭、芥のように世間の陰をゆく者の喜怒哀楽、地方遊里の実態や興行の仕組みなど江戸の文人墨客の紀行が黙殺してきた東北地方の知られざる一面を描く。
目次
1 芝居が本の世の中―「筆満可勢」とその時代
2 富士よ、これが見納め―浦賀から石巻へ
3 富本豊後大掾藤原衆秀―偽称して奥州路
4 評判雷鳴轟く如し―雪の盛岡
5 蝦夷地渡海を志す―三陸海辺めぐり
6 いやはや、面目ねえ―正体ばれて秋田
7 遊女は惚れたといい―本荘酒田色模様
8 三度、町を追いだされ―鶴岡の女
9 御身ほどの名人は稀なり―長岡の贔屓連
10 声の出ぬのが口惜しい―越後高度立往生
11 太平の世の戦国にて―流れ着いて祇園
12 有頂天の空いずこ―おそらく江戸深川