内容説明
「古代の南九州の住民」「征討されるべき者」として、日本人のなかに脈々と生きつづける悪者クマソ。本書は「そもそもクマソは実在したのか」という未解明の部分の多すぎるクマソをめぐる諸問題を追究することで歴史学の近代化とそのひずみに迫る力作。
目次
問題の所在―日本人のなかに生きつづける悪者クマソ
津田左右吉説の影響―歴史学の近代化とそのひずみ
クマソ記事の検討―史書から読みとるクマソ像
定説への疑問―見直すべきは定説なり
各『風土記』の記事―『風土記』はすべてが八世紀ではない
球磨と贈於の地域的差異―クマとソは別の世界
クマソ征討説話成立時期の問題点―添加・潤色されたクマソの物語
景行天皇の筑紫巡行―だまし討ちされたクマソ
西征と東征は一連の物語であったのか―つけくわえられた西征物語
仲哀・神功説話とクマソ―七世紀の史実の反映を読みとる〔ほか〕