内容説明
明治初期、集治監という刑務所の囚人労役は貞山運河改修。ある事件を境に彼らの人生が移ろい始める…。「卵」‐中央公論新人賞‐から17年。円熟期を迎えた著者待望の歴史小説。短編「無間の鐘」併録。
著者等紹介
佐佐木邦子[ササキクニコ]
仙台市生まれ。宮城教育大卒。85年、「卵」で中央公論新人賞受賞。小説・シナリオなどを執筆しながらタウン誌編集に携わる。日本民話の会、みやぎ民話の会会員
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感想・レビュー
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さんつきくん
2
前回読んだ「黒い水」が面白かったので、他の作品を手にしてみました。明治維新後の宮城県沿岸部・貞山運河が舞台。集治監とは今でいう刑務所のことで、囚人は貞山運河の工事を労務としていた。この集治監での出来事を登場人物3人の口語体で書かれている。維新後の混乱期に囚人となった2人と看守1人。当時の県内や囚人達の過酷な労務、脱獄しようとして、できなかった囚人達の思いなど読んでいて興味深い。短編の「無間の鐘」は松島湾の小さな島を舞台に、もう帰らない夫を頑なに待ち続ける女性をわらべ歌にのせた切ない話でした。2016/09/01