内容説明
都会と田舎、笑いと哀しみ、才能と狂気、慈悲と残酷、妻と夫、出会いと別れ、生と死…。すべては表裏一体、あんなにもつらく、楽しかった25年間。誰も知らない「井上ひさし」がここにある。
目次
井上ひさしさんの死
奇妙キテレツ新婚時代
ひょっこりひょうたん島人物漂流記
テアトル・エコーの芝居和と洋の対立
あっという間に直木賞
売れっ子作家になって
市川北国分の不夜城
義母、井上マスという人
五月舎の頃絶頂からドン底まで
こまつ座乱舞の日々
あっという間に離婚へ
つかさんと井上さん
妻は死んだ
著者等紹介
西舘好子[ニシダテヨシコ]
1940年、東京市浅草区鳥越のかもじ職人の次女として生まれる。大妻高等学校卒業後、電通勤務。61年、井上ひさし氏と結婚。83年、劇団「こまつ座」を結成、座長兼プロデューサーとして劇団を運営。86年、井上ひさし氏と離婚。その後、株式会社「リブ・フレッシュ」を設立。89年に劇団「みなと座」を立ち上げる。現在は、NPO法人「日本子守唄協会」の理事長をはじめ、社団法人「日本民族音楽協会」副理事長、遠野市文化顧問などを務め、講演会・イベント・シンポジウムなどを開催し、“親と子の絆”“子育て支援”などに資するために精力的に活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kokada_jnet
3
基本的に前著『修羅の棲む家』と重なる内容だが。死去前の、井上ひさし+三女と、長女・次女との対立も記述。この本の後書きは長女・都氏が書いている。 井上ひさしの実家関係者や、育った孤児院の関係者と、著者が出会った体験も記述され。彼の強烈なコンプレックスの由縁がわかる。 離婚した直後の著者に手を差し伸べてくれたのが、つかこうへいだったというのも、意外なエピソード。 2012/03/29
まーたろ
2
片方は亡くなっているし、夫婦のことは夫婦にしかわからない。その前提に立つにしても、暴力はやっぱダメよね。意外と本当にこういう男だったんじゃないか、という気もする。自分が持っていないものに対するコンプレックスの強い人間。繊細で傷つきやすく、それを悟られないようにたくさんの鎧をまとう人間。誰でも持ってる一面だけど、それが突出しているからこそ、あんなにすごい作品を残せたのだな。暴力ふるうヤツは大っ嫌いだが、井上ひさしの作品は好きだ。2018/10/16
いのふみ
2
DVにまつわるぶつかり合いのエピソードがやはり衝撃的だが、井上ひさしの生い立ち、執筆の姿勢、日常にフィクションを持ち込む「嘘つきっぷり」、1950年代のテレビ局内の風景景色、番組の作り方、まだ「放送作家」という肩書きのない頃の彼らの立場とテレビ局の態度、劇伴担当の宇野誠一郎の井上ひさしへの距離感についての発言など、小説やエッセイでは完全に知り得ない、井上ひさしを知るサブ資料として貴重。2018/07/02
santana01
2
井上ひさしといえば温顔で朴訥、憲法や平和を語る姿しか知らなかった。それが、井上作品に距離を置いていた理由でもある。しかし、本作で描かれる彼と彼を取り巻く人々は、どこまでも人間臭い。家庭内暴力や作家を演じ続けようとする肥大化した自尊心や劣等感からは社会不適合者にすら見える。そして、不倫に走る妻。一部からはトンデモ本扱いされているらしいが、彼にもっとも近かった人の証言として否定することは出来まい。井上ひさしがこれだけの修羅を抱えた人間だったとは…。今は読むに値する作家として信用できるような気がしている。2012/12/05
mariko
1
井上ひさしの作品が好きで大分読んでいる。 友人からこの本のことを聞き読んだ。 こういう事実があるかも知れない、と思いつつ読み進んだが、想像以上で、すぐには受け入れにくかった。 彼の作品はこれからも読み続けるが、この本の内容が思い浮かびそう。 これは読まなくても良かったかも、と思っているところ。2015/03/13